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「濃縮ウラン製造施設」を初公開した金正恩の狙い

Japan In-depth / 2024年9月18日 11時0分

次にその狙いは、核で韓国民を脅迫し、韓国内の左右対立を拡大させ、尹錫悦大統領を追い詰めようとしていることだ。


尹政権の毅然とした対北朝鮮政策は、北朝鮮軍事力の「ハッタリ」部分を剥がしつつある。特に米国と進める新たな「核拡大抑止政策」と、それに基づく北朝鮮への核反撃軍事演習は、金正恩体制に大きな打撃を与えている。金正恩はいま何としてでも尹政権を崩壊させなければと考えている。


そして3つ目は、米国の大統領選挙を前にしたメッセージだ。


誰が大統領になろうが、非核化交渉はない。あるのは北朝鮮を「核保有国」と認めたうえでの「核軍縮交渉」だけだということを示したかったと思われる。


 


■ 対北朝鮮「融和政策」がもたらした濃縮ウラン製造


北朝鮮の「首領絶対独裁制」(北朝鮮の金王朝体3代体制)と核兵器はコインの裏表である。核兵器なしに金正恩は存在できない。金正恩にとって核兵器は命の源泉だ。それ故、金正恩体制が崩壊しない限り北朝鮮の核は除去できない。


しかし米国をはじめとする国際社会はこの真理を理解せず、金独裁体制に対価を与えれば核を放棄すると考えてきた。そして数十年にわたって無駄な時間を費やした。この幻想を作り出した張本人は歴代の韓国左派政権であった。金大中、盧武鉉、文在寅の3政権は、崩壊寸前にあった北朝鮮の「首領絶対独裁制」を支え続けた。特に北朝鮮の代弁政権と言われた文在寅政権は、「金正恩は核を放棄する」と米国をはじめ国際社会に触れ回り、北朝鮮の核兵器開発を助け続けた。


 これらの政権が取った対北朝鮮政策は、北朝鮮の「民族どうし戦略」を受け入れ、イソップ物語の「北風と太陽」の寓話をもとにした、いわゆる「太陽政策」なる融和政策だった。


しかし「太陽の光と熱」は、北朝鮮の統治システムによって遮断され、北朝鮮住民には届かなかった。むしろ金王朝政権復活のエネルギーとなった。またその熱は、北朝鮮政権が作り上げた「反射装置」によって韓国に逆反射させられた。この熱は韓国民の脳を麻痺させ、金王朝独裁政権への警戒心を武装解除させた。その結果物として出来上がったのが今回公開された「濃縮ウラン製造施設」だといえる。


 北朝鮮が核保有とその使用規定まで憲法に定めた今、交渉で北朝鮮非核化を実現する道は閉ざされたといえる。北朝鮮が求めている交渉は「核軍縮交渉」だ。米国、韓国をはじめとした国際社会は、この野望を打ち砕かなければならない。金正恩政権を核放棄に追い込む新たな政策が求められている。


トップ写真:ロシアとの会談後、出発セレモニーの際に空港で手を振る金正恩大統領(2024年6月19日、平壌)


出典:Photo by Contributor/Getty Images


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