【立憲民主党代表選挙】4 吉田晴美氏「政策分析」と「人事評価」
Japan In-depth / 2024年9月22日 15時0分
立教大学出身のCAから始まる華やかなキャリアと振舞いとは違い、落選回数も3回、政治家へのチャレンジに10年かかったことなど意外にも波瀾万丈の人生でもある。特に、実家の住居兼店舗が焼失してしまい、小さな4人兄弟が住む家もなかった経験をしたこと、甲状腺がんを克服したこと、お子さんが自閉スペクトラム症 (ASD)であること、脳梗塞で倒れた母親の介護を20年も続けていることなど、相当の「苦労人」である。
◆ 吉田晴美氏の政策の特徴
「教育×経済=国民生活の底上げ」の好循環を作っていこうという政策の方向性を示す吉田さん。少子化、医療・介護・年金制度の不安などのたくさんの課題の解決の方向性が教育だと考えている。
企業の内部留保を引き出す「教育ブーストファンド」なども提案している。短期では家計に届く政策として、全国一律最低賃金1500円 、時限的消費税減税(5%)、特に食料品は非課税にすることを主張している。
▲写真【出典】吉田さんHP
特徴の第一に、教育の必要性を考えていることだ。「教育から人のエネルギーをそこから経済へという考え方」が基盤となっている。
・子育て・教育・研究予算を倍増し、教育立国で日本再建
・国公立大学の無償化
・全国小・中・特別支援学校の給食の無償化
・18歳まで、博物館・美術館の無償化
・インクルーシブ教育の推進
・学びの多様化学校の拡充など、不登校・ひきこもり支援を促進
・イジメ撲滅のための人権教育
【出典】吉田さん政策
第二に、環境政策を重視していること。
・再生可能エネルギー、再生素材、医療、介護、そして宇宙事業分野を後押し
・持続可能な社会に貢献する産業で新たな雇用を生み出す
・一日も早く原発ゼロを実現
・再生可能エネルギーの推進で、エネルギー自給率100%に
・カーボンゼロを実現し、「化石賞」の不名誉を返上
・地熱の活用推進に向け、技術開発と人材育成に積極投資
・「環境テクノロジー」「エコ商品」「自然エネルギー」を日本の成長産業に
【出典】吉田さん政策
化石賞の意義づけは置いておいて、代表・総裁選では政策としてもとりあげられないカーボンゼロを明言している点は特筆に値する。原発ゼロを明確にしているのも立憲民主党代表候補・自民党総裁候補の中で唯一の存在と言ってもいい。
課題は、失われた30年と言われる日本経済の低迷の解決策のための案としては短期的には不十分であることだ。
岸田政権は、デフレ完全脱却のための総合経済対策、賃上げ推進、スタートアップ育成5か年計画、企業の人的資本可視化の義務化、企業の人的資本経営の推進、ジョブ型経営推進、10兆円の大学ファンドなど、それなりにやってきたように思える。岸田政権の経済政策の足りない点をより明確にしてもらい、立憲民主党として、今後、日本企業の競争力をどうあげるのかを提示してもらいたい。創造性を促し・デザイン思考を進めイノベーションをどう起こすのか、起業をどのように推進していくのか、失われた30年間の変わらない大企業優先・業界団体の企業風土をどう変え公平公正な競争環境を作るのか、業法の規制緩和をどう進めるのか、海外のプラットフォーム企業の寡占化をどう防止するのかなどなど、このあたりが明確でないと自民党には経済政策では勝てない。
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