【自民党総裁選選挙】7 小林鷹之氏「政策分析」と「人事評価」
Japan In-depth / 2024年9月26日 13時42分
【出典】小林さん政策
第三に、戦略や計画策定が多い。2050 年のわが国を見据えた「国家戦略 2050」、「シン・ニッポン創造計画」・・・・などなど、「戦略・計画を作る」政策が目立つ。PDCAサイクルを効果的に回すこと、アジャイル型の業務執行、運用改善や検証などは言及が少ない。計画を作って終わりがちのよくある「行政のマネジメント」にならないとよいのだが。
課題は、実現するための手段である。「新たな価値の創出が不十分であるという供給側の構造的課題を克服する必要があります」という的確な問題意識ものと、様々な方策を提案している。特に、デジタル政策、そしてスタートアップ政策、技術戦略。スタートアップ支援の強化、スタートアップや新技術を政府調達も活用して成長させる「日本版 COTS」制度を創設するなどの提案は斬新的である。
しかし、それだけでは不十分であろう。どうやってOECD中位国が「世界をリードする国へ」になれるのか、という疑問である。
1人当たりGDP、平均賃金、労働生産性、仕事の満足度、やりがい、企業の競争力など世界をリードどころか、劣っている現状にある。技術レベルは世界でも有数だが、IT、DX、人材育成、イノベーションにも完全に出遅れ、権威主義的組織風土がまだ企業競争力やイノベーションを阻害している。個人の創造性を促し・デザイン思考を進めイノベーションをどう起こすのか、起業をどのように推進していくのか、失われた30年間の変わらない大企業優先・業界団体の企業風土をどう変革し、公平公正な競争環境を作るのか、業法の規制緩和をどう進めるのか、雇用の流動化で産業構造改革をどう促すのか、海外のプラットフォーム企業の寡占化をどう防止するのかなどなど、このあたりが明確にしてもらいたいものである。
さらに、国民の実感レベル、例えば、幸福度、仲が良い友達の数、低い自己効力感、強い不安感、相互信頼など様々な指標も先進各国において劣後している。「日本人は頑張ればできる」という認識は同感であるが、日本社会は「底が割れている」状況である。国家主導のトップダウンだけで可能なのだろうか。多様性、寛容性と包容力のある共同体の基盤をどうにかしないと格差が広がるだけだろう。
二番目の課題は、「自民党は生まれ変わる」と主張する政治改革の内容だ。政策活動費の毎年公開又は廃止、第三者機関の設置などの政治改革に取り組むと主張するが、それだけで「生まれ変わる」「古い慣例を勇気をもって脱ぎ捨てられる」ことは難しいだろう。
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