石破氏「アジア版NATO」構想、内外から疑念の声
Japan In-depth / 2024年10月4日 22時0分
安倍宏行(Japan In-depth編集長・ジャーナリスト)
【まとめ】
・石破茂氏の「アジア版NATO」構想、国内外から激しい批判に晒されている。
・専門家からは、アジアの多様性や日米同盟との関係性など、様々な問題点が指摘されている。
・この構想は日本外交に与える影響は大きく、国民への説明が求められる。
石破茂首相の持論「アジア版NATO」への批判が止まらない。
なぜ石破首相が「アジア版NATO」を必要だと考えているかは、以下の氏の米有力保守系シンクタンク、ハドソン研究所への寄稿(「日本の外交政策の将来」Shigeru Ishiba on Japan’s New Security Era: The Future of Japan’s Foreign Policy 2024年9月25日)を読めば一目瞭然だ。
「今のウクライナは明日のアジア。ロシアを中国、ウクライナを台湾に置き換えれば、アジアにNATOのような集団的自衛体制が存在しないため、相互防衛の義務がないため戦争が勃発しやすい状態にある。この状況で中国を西側同盟国が抑止するためにはアジア版NATOの創設が不可欠である」。
また、石破氏は論文で以下のように、日米安全保障条約の「非対称性」を指摘したうえで、「地位協定の改定」と、「自衛隊のグアム駐留」も主張した。
「アメリカは日本「防衛」の義務を負い、日本はアメリカに「基地提供」の義務を負うのが現在の日米安全保障条約の仕組みとなっているが、この「非対称双務条約」を改める時は熟した。日米安全保障条約と地位協定の改定を行い自衛隊をグアムに駐留させ日米の抑止力強化を目指すことも考えられる」。
まず、岩屋毅外務大臣は10月2日の会見で早速以下の通り、アジア版NATOに否定的な見方を示した。
「まず、大事なことは、同志国・同盟国とのネットワークを、更に重層的・多層的に編み上げていくということが、最初に取り組むべきことだと考えております。そのことによって、抑止力というのを高めていきたいと思っております。
アジア版NATOは、もちろん将来の一つのアイディアとしてはあるというふうに思うのですけれども、やはり時間をかけて、中長期的に検討すべきだと考えております。
政府としては、従来からお答えしているとおりに、現行憲法上、他国をもっぱら防衛するということを目的とする集団的自衛権の行使は認められないという考え方を堅持しております。
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