デジタル庁に提案!自治体情報システム標準化をリスケしよう!【日本経済をターンアラウンドする!】その27
Japan In-depth / 2024年10月11日 16時36分
筆者撮影)
各省庁が作成した「標準仕様書」とよばれるシステムの設計書がある。大手メーカーの幹部や地方自治体の熟練職員や学者が参画もして作り上げ、総務省のチェックを受け公表されている。つまり、だいたい多くの自治体のシステムは仕様がある程度統一されたシステムを開発し、それを使うことになったわけだ。
専門家であるアナライズ11代表・日本公共利益研究所主任研究員 蛭本義治さんに聞いてみた。蛭本さんはこう説明する。
「そもそも自治体のシステムの多くは大手三大メーカーの他、地方のメーカーが、過去に自治体業務に携わってきたノウハウを元にシステム開発を行っている。メーカーが開発した自治体システムを地元ベンダーがそれぞれの自治体の事情に合わせ改造を加え、適宜、法改正などの都度システム保守を行っている。特に大手三大メーカーは、建築業でいうところの「ゼネコン」の役割を担い下請けのリソース及びプロジェクト管理・監督を行い多くの社会的責任を負っている。」ということらしい。
そんな時に凄いニュースが飛び込んできた。富士通と富士通Japanは、先般、システム移行を担う約300自治体の作業完了が2025年度末の期限に間に合わないということが日経クロステックの取材で明らかになった(関連記事)。
2024年6月に始まった定額減税などが自治体システムに大きな影響を及ぼしていて、また法改正対応として戸籍のふりがな表記対応といった現行システムを大規模改修する必要が生じた。このことにより、富士通と富士通Japanは標準化の期限まで間にあわなくなったそうだ。
話を戻して、問題は第一に、予算額だ。コスト削減の目標達成は土台無理だとはいえ、今後の国民生活のインフラなのだから、予算はもっとつけてもよいのではないか。ゼネコンのような下請け構造はあるものの、ある意味、一種の公共事業のようなものだ。DX投資を行政が主導する意味でこれまで少なすぎた予算ともいえる。
第ニに、スケジュールだ。富士通グループが遅れることが確定した今、期限を先延ばしすべきだろう。システムをAWSやグーグル、オラクル、さくらインターネットのクラウドに置くことだけでさえ、クラウドが複数の場合、メーカーが何社もシステム構築をしている場合、調整がとても複雑だ。
前述の蛭本さんはこう言う。
「メインフレーム(大型コンピューター)以来、システムをつぎはぎして、だましだまし使っていた。複数の自治体がプライベートクラウドにおくという「自治体クラウド」からのバラバラの状態を一気に移行する大改革の割には支援が不十分であり、拙速である」と。
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