京浜急行鉄道事故総合対応訓練から見えてきたもの
Japan In-depth / 2024年10月21日 7時0分
Japan In-depth編集部
【まとめ】
・京浜急行が、6年ぶりに大規模な鉄道事故総合対策訓練を行った。
・今後は、ハードとソフトを組み合わせて事故・災害対策を進める。
・気象予測や地震の早期警報などをシステムとして組み入れ、機械化も進める。
圧倒された。鉄道事故訓練を初めて目の当たりにし、まさに「見ると聞くとは大違い」だ。
10月18日、京浜急行電鉄株式会社(以下、京浜急行)は、第43回鉄道事故総合対策訓練を同社久里浜工場内(神奈川県横須賀市)にて実施した。参加したのは、京浜急行の他、京急建設株式会社、京急電気株式会社、京急サービス株式会社、神奈川県横須賀南警察署、横須賀市消防局。コロナ禍などもあり、この規模の訓練は実に6年ぶりの実施となる。従来は観覧客を募集していたが、今回は行われず、関係者のみの参加となった。
この訓練の目的は、重大事故発生時における併発事故の防止と早期の復旧を行うため、事故現場における対応、基本動作、乗客の安全な避難誘導方法、復旧作業時の安全確保、確実な連絡体制の再確認、と包括的なものとなる。
想定された事故は「列車脱線」。10月18日同日午前、時速80kmで運転中、踏切に進入してきた乗用車と接触し、脱線したもの。乗用車側に重傷者1名、鉄道側に心肺停止者1名、重傷者1名、軽傷者2名という想定だ。
車と列車の接触、衝突のニュースでよく見る風景は、乗客が列車から降りて線路上を歩くものと、大勢の保安要員が列車の周りで復旧作業に当たっているものだ。事故後の復旧に時間がかかるのは、概念的には理解していたが、今回訓練を見てその理由がようやく腑に落ちた。
■ 訓練の内容
訓練は、京浜急行の川俣幸宏社長の挨拶で始まった。2019年の踏切衝突事故や、2012年の土砂崩れ脱線事故に触れ、「時間の経過とともに我々の対応力も落ちてきているだろう。そこはちょっと心配している」と述べ、「ベテランの職員は当時を思い出して、あの時はこうだったと、多分もっとこうすべきだったという思いを後輩に伝えていく機会にしていただきたい」と参加者に呼びかけた。
▲写真 京浜急行 川俣幸宏社長:ⒸJapan In-depth編集部
事故発生時に真っ先に取り組まねばならないのは、乗用車に閉じ込められた人と、列車内の重軽傷者の救出だ。
列車内の乗客は、非常脱出ハシゴや旅客用シートなどを使って避難誘導され、けが人は簡易担架などで運ばれ救助された。
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