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トランプ前大統領の圧勝とその教示

Japan In-depth / 2024年11月7日 23時21分

トランプ氏は2016年の大統領選挙で当選した当初から「ロシア疑惑」をぶつけられた。「トランプ陣営はロシア政府工作員と共謀して2016年の選挙の有権者票を不当に操作した」という疑惑は結局はなんの根拠もないことが判明した。しかもその疑惑の最大の証拠とされたスティール文書というのは米側の民主党陣営の意を受けたイギリス政府元スパイの捏造だったこともわかった。





しかし民主党陣営はニューヨーク・タイムズのような大手メディアと結託し、トランプ大統領を特別検察官の捜査の標的として、攻勢をかけた。同時に民主党活動家の検事たちがトランプ氏を合計4回も起訴した。議会では弾劾が2度も提起された。しかしトランプ氏はこの種の民主党側による「連邦機関の武器化」をすべて跳ね返した。その基盤には同氏を支持する多数のアメリカ国民の意思があった。そして同氏の掲げる自国第一の政策の基本への強い支持があったのだ。さらにトランプ氏は選挙戦中の2回にもわたる暗殺の試みをも跳ね返した。





第三には、カマラ・ハリス氏という人物の政治指導者としての脆弱性である。民主党側の予備選という重要なプロセスを経ないで突然に候補となったハリス氏は副大統領時代には「史上、最低人気の副大統領」とされていた。その弱さが結局は多くの有権者を離反させたといえる。





しかしハリス氏は一時は高い支持率を示した。トランプ氏を追い越す期間も続いた。その原因としてはジョセフ・バイデン大統領の衰えに替って、ハリス氏が元気いっぱいの挙動で登場したことや、大手メディアがハリス氏を天まで昇れという調子でほめたたえたことがあった。





だがハリス氏はその後の選挙戦では重要政策の変転を批判された。不法入国者の扱いや、石油・天然ガス採掘のフラッキング(水圧粉砕)への態度という政策面でつい数年前に表明していたリベラル左派の過激な主張を今回は逆転させ、フリップフロップ(くるくる変える)と非難されたのだ。





その一方、ハリス陣営はトランプ氏に対して「アメリカの敵」、「民主主義への脅威」、「ヒトラー礼賛者」などという激しいののしりの言葉を浴びせ続けた。だが結果としてこの手法でのトランプ支持層の切り崩しには成功しなかった。ハリス氏は結局はキャンペーン当初での人気に裏づけがなかったことを立証してしまったといえる。





第四は、日本側での「トランプ叩き」の的外れである。日本側の主要メディアやアメリカ政治専門家とされる人たちの多くが「トランプは危険」、「トランプは敗者」という断定を述べ続けた。だがアメリカ国民の多数派はそれとは正反対の審判を下したのだった。





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