トランプ前大統領の圧勝とその教示
Japan In-depth / 2024年11月7日 23時21分
この展開から明らかになったのは日本側でのアメリカ政治の読み方の錯誤だといえる。その錯誤は国際情勢全般の間違った認識にもつながっている。そもそも他国の選挙での多数派の志向を根拠も乏しいまま、「危険」だとか「誤り」だと断じる「日本的識者」はこの際、現実を直視して、反省すべきだろう。もっともその種の反省には縁がないのが日本的識者の特徴かもしれない。
この錯誤には「もしトランプ政権の再登場ならば、トランプ氏は日米同盟も破棄しかねない」などという極端な断言もあった。次期政権に備えるトランプ陣営が日米同盟の堅持をどれだけ重視しているか、は少し調査をすればすぐにわかるはずだ。
トランプ氏自身はこんごの政策については「アメリカ第一政策研究所」(AFPI)というシンクタンクに全面的に依存してきた。みずからの考えを正確に反映する内外諸政策の形成はこの研究所にゆだねてきたのだ。その研究所の政策発表をみれば、トランプ大統領が日米同盟を破棄するなど、夢想もできないことが瞬時に理解できる。そんな簡単な作業もしない「日本的識者」の言辞は偏狭かつ不正確なことが今回の大統領選の結果、印象づけられたといえよう。
さて2025年1月20日にアメリカ合衆国の47代目の大統領に就任するトランプ氏は内政、外交の両面でバイデン・ハリス現政権とは画期的な異なる諸策を打ち出すだろう。しかも就任の第一日目から大胆な政策をとることをトランプ氏自身が言明している。その結果、アメリカが、そして世界が大きく変わるだろう。その変化は日本にとっても歓迎すべき動きだとみて、柔軟な対応を試みるべきである。
*この記事は日本戦略研究フォーラムのサイトに掲載された古森義久氏の寄稿の転載です。
トップ写真:出典 John Moore/Getty Images
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