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MR不足が招く医療現場の危機、高齢医師との連携で解決策を

Japan In-depth / 2024年11月26日 23時0分

新薬が発売されると、MRが病院を回り、薬を説明する。彼らの社内評価は、新薬の売り上げ次第だ。かつては、朝晩に医局の前に並び、自らが「標的」とする医師が戻ってくるのを待ち、薬の宣伝の時間を確保しようとした。





実は、多くの医師にとって、MRからの説明は新薬の情報を得るための貴重なルートだった。かつて、製薬企業が販促のために作成する資料には、ライバル薬との比較データまで掲載されており、極めて分かりやすかった。





製薬企業が重点的に営業したのが、若い医師だ。右も左も分からない若いうちに、自社の薬を覚え込ませたら、一生処方して貰えるという訳だろう。





この戦略は正しい。お恥ずかしながら、胃薬のムコスタをはじめ、私が普段、処方する薬の中には、研修医時代に担当のMRから教えてもらった当時の「新薬」が多い。30年以上、処方し続けていることになる。





幸い、ムコスタは特許が切れた現在も、レバミピドという名前のジェネリックが汎用されている。この薬を処方し続けても患者さんには迷惑はかけていないだろう。





残念ながら、すべての薬が、このようにいくわけではない。漫然と古い薬を処方していると、患者さんに思わぬ害悪を及ぼすことがある。





その代表が睡眠薬だ。睡眠薬の研究は日進月歩だ。柳沢正史・筑波大学国際統合睡眠医科学研究機構機構長・教授は世界の睡眠研究をリードし、毎年、ノーベル医学生理学賞候補に挙げられる。





このような研究の進展は、新薬の開発に結びつく。その代表が、エスゾピクロン(商品名ルネスタ)とレンボレキサント(商品名デエビゴ)だ。いずれもエーザイが開発した睡眠薬である。





2022年7月、オックスフォード大学の研究チームは、4万4,089人が参加した30種類の睡眠薬を対象とした154件の臨床試験の結果を分析し、この二つの睡眠薬が優れているという研究成果を、英『ランセット』誌に発表した。日本企業が世界を代表する睡眠薬を開発したことになる。





かつて、睡眠薬の中核は、ベンゾジアゼピン系と称される薬剤だった。脳内のGABA受容体に結合し、その機能を亢進させ、中枢神経系を抑制する。つまり、意識を全般的に下げる。





この薬の問題は、高齢者で効果が遷延し、日中の鎮静、譫妄、運動失調、記憶障害などが生じることだ。転倒のリスクを増やすことが証明されている。





エスゾピクロン(商品名ルネスタ)は、非ベンゾジアゼピン系に分類される睡眠薬で、このような副作用が弱く、高齢者に使いやすい。





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