トランプ支持者と斉藤支持者 「再トラ」ついに現実に 最終回
Japan In-depth / 2024年11月29日 10時1分
林信吾(作家・ジャーナリスト)
林信吾の「西方見聞録」
【まとめ】
・兵庫県知事選、一部メディアが示唆している当選無効という蓋然性は意外に低いと見る向きも多い。
・誰が責任を持って当選無効という判断を下せるのか、という問題が残る。
・勝てば官軍という論理がまかり通るようでは、健全な民主主義とは呼びがたい。
5日に米大統領選挙の結果が出たので、シリーズで取り上げてきたが、17日には、国内ではそれ以上に関心を集めたのではないかと思われる選挙の結果が出た。
言うまでもなく兵庫県知事選挙で、前職の斉藤元彦前知事が「ひとまず」再選を果たしている。ひとまず、とはどういうことか、すでにマスメディアが繰り返し取り上げているので、ここでは選挙に経緯のみ簡単に振り返っておこう。
9月19日、この歩は兵庫県議会定例会の初日であったが、斉藤知事に対する不信任案が全会一致で可決された。これを受けて知事は30日に失職し、出直し選挙を選択したもの。
きわめて稀な事例で、2002年に田中康夫・長野県知事、03年の太田正・徳島県知事に続いて3例目である。ちなみに田中氏は知事再選を果たしたが太田氏は落選した。公職選挙法の規定により、出直し選挙は知事の失職から50日以内に投開票を実施せねばならないので、17日の日曜日が選ばれたようだ。
事の発端は前述の不信任決議だが、なぜそのようなことが起きたのかと言うと、今年3月、斉藤知事の県職員に対するパワハラや不当利得などを告発する文書が、兵庫県警、国会議員や県議会議員、マスメディアなどに匿名で送付された。市民からの情報提供によって、この事実を知った斉藤知事は、片山副知事ら側近に、
「(誰が書いたのか)徹底的に調べろ」
などと命令。内部調査の結果、当時の西播磨県民局長の関与が浮上し、片山副知事らは職場を予告なしに訪問。同局長の公用パソコンを押収し聴取も行った。そしてくだんのパソコンを調べたところ、告発文書の他、斉藤知事を失脚させる「クーデター」「革命」といった文言が含まれたメール送受信記録、さらには業務と無関係な私的行為に関わる写真や文書が多数発見されたという。
この局長は、3月末で定年退職の予定となっていたが、県は懲戒処分を見越して定年を保留すると発表。斉藤知事は記者会見を開き、「事実無根」「嘘八百」「公務員として失格」などと、口を極めて局長を非難した。局長も黙ってはおらず、4月1日付で上記の会見に対して反論する文書をマスメディアに送付した。さらに4日には県庁内の公益通報窓口に、あらためて実名で告発文書を提出している。
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