映画を通して世論を知る。配信で見ておきたい『ソウルの春』と『シビル・ウォー アメリカ最後の日』
Japan In-depth / 2024年12月11日 16時48分
中川真知子(ライター/インタビュアー)
【まとめ】
・『ソウルの春』は、韓国の歴史的な1979年の軍事クーデターをテーマに、民主化運動の希望と挫折を描いた作品。
・『シビル・ウォー アメリカ最後の日』は、分断するアメリカを描いた作品で、現在の社会問題を考える視点を与える。
・両作品は、それぞれの国が直面する政治的・社会的課題を反映し、観客に深い考察を促す内容となっている。
政治を考える上で重要な映画が2本ストリーミング配信されている。
1979年12月に韓国で発生した軍事クーデーターをテーマにした『ソウルの春』(配信サイトにてレンタルもしくは購入)と、アメリカの内戦を描いた『シビル・ウォー』(Amazon Prime独占配信)だ。
筆者は両作品を劇場鑑賞したが、エンドクレジットが終わって会場が明るくなっても、水を打ったように静まり返っていたのが印象的だった。
これらの作品はどんな内容で、どういった社会的意味を持つのだろう。
■ 人々の怒りを買い歴史的ヒットを記録した『ソウルの春』
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『ソウルの春』という作品を初めて知ったのは、韓国を拠点に活躍されていた映画ライター土田真樹氏(故人)に強く勧められたからだった。「韓国中が興奮している。人の心を動かす作品が公開されました。日本公開されたら絶対に観てほしい」映画をこよなく愛する同氏だが、『ソウルの春』については、一層、熱量高く勧められたのを覚えている。
それから数ヶ月後、日本でも公開を迎えた。国内のプロモーションは比較的地味で、筆者の地元でもミニシアター上映にとどまったが、会場は満席で観客は一様に真剣な眼差しを向けていた。
そんな『ソウルの春』はどんな内容なのだろうか。
同作は、1979年10月26日に独裁者だった朴正煕(パク・チョンヒ)大統領が暗殺され軍事独裁が終わった直後、韓国国内で民主化への期待が高まる中で発生した軍事クーデターを描いている。
▲写真「ソウルの春」より
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韓国の歴史に明るい人なら誰でも、このクーデターが成功し、韓国は再び民主化から遠ざかったことを知っているだろう。だが「12・12軍事反乱」に関しては徹底的に隠されてきたため、韓国国民すら実際に何が起きていたのか知らない人が多いという。
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