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映画を通して世論を知る。配信で見ておきたい『ソウルの春』と『シビル・ウォー アメリカ最後の日』

Japan In-depth / 2024年12月11日 16時48分


▲写真 「シビル・ウォー」で大統領役のニック・オファーマン 出典 Murray Close / Getty Images


ワシントンを目指すジャーナリストの一行は、武装市民の過激な行動を目撃し、時に標的にされる。もっとも印象的だったのは、武装市民に銃を向けられ「どっちのアメリカ人だ」と問われるシーンだ。答え次第で命を落とすのがわかっているため、画面の中だけでなく、劇場内にも緊迫した空気が流れた。筆者はかつてアメリカに6年ほど住み、ビザ発行元が倒産したのをきっかけに帰国を迫られた経験がある。弁護士から「アジア人が11人のみのその土地ではあなたたちは目立つからすぐに帰国してほしい。見つかって強制送還になったら再入国は難しい」と連絡を受けたこともある。この経験から、ある日突然追われる立場になってしまったり、その土地にいることすら許されなかったりする恐怖を少しは理解しているつもりだ。


そのため、問題のシーンは人ごとに感じられなかった。アメリカが分断され、過激派が増えれば筆者は殺されるかもしれない。そう考えると、分断を産む可能性は排除する必要があると強く感じた。


 


だが、時間の経過とともに疑問が湧いてきた。


本作は、まるでドナルド・トランプ氏が大統領に返り咲いたら分断が広がり内戦につながるかのようにまとめているが、そんなことは起こるのだろうか。


ドナルド・トランプ氏が大統領だった4年間は、左派が主張するような恐怖政治だったわけではない。むしろ、バイデン・ハリス政権の4年間の方が問題は山積みで、私が住んでいたカリフォルニアもフロリダもかつてのような活気はない。治安は悪化の一途を辿り、人々はインフレで苦しんでいる。


大統領選挙中、アメリカも日本も、いわゆる左派メディアはトランプ氏を批判するコメントを中心とした偏向報道が目立ち、SNSでは嘘を織り交ぜて恐怖心を煽る投稿で溢れていた。しかし、結果からもわかる通り、大部分の世論は真逆の動きをしていたのだ。


メガホンを握ったアレックス・ガーラント監督は中道左派で、トランプ時期大統領を「不誠実」だと否定的に話し、国に分断をもたらす存在だと感じているようだ。しかし、だからと言って、トランプ氏を彷彿させる風貌の男性を、分断を招いた大統領として演じさせ映画の最後に射殺させるのはいかがなものだろう。恐怖を煽っているとは考えられないだろうか。


2024年の大統領選挙は、共和党とメディアとの戦い、とも言われた。歴史的選挙を包括的に理解する上でも、『シビル・ウォー アメリカ最後の日』はチェックしておきたい。現在、Amazon Primeで独占配信中だ。


 


トップ写真)「ソウルの春」より


出典)『ソウルの春』


12月25日(水) Blu-ray・DVD発売


豪華版Blu-ray:¥7,480(税込)


通常版Blu-ray:¥5,280(税込)


通常版DVD:¥4,400(税込)


発売元:クロックワークス


販売元:TCエンタテインメント


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