米抑止力の復活「2025年を占う!」国際情勢
Japan In-depth / 2024年12月30日 14時13分
第二は国際的な保守主義の拡大、リベラリズムの後退である。
アメリカの2024年の大統領選挙で明示されたのがまさにこの現象だった。この現象は国家主権重視の拡大とグローバリズムの後退と換言してもよい。自国の国益優先策の広がりと国際協調主義の縮小と表現してもよい。
この政治傾向はヨーロッパでも顕著である。イタリアでは自国の主権を尊重し、外部からの移民の大量流入には反対して一時は「極右」とも断じられたジョルジャ・メロー二氏が民主的なプロセスで政権を握った。フランスでも保守主義政党のマリーヌ・ルペン氏が国民の支持を広げた。
イタリア、フランスの両女性政治家の人気の拡大はいずれも民主的な選挙の結果、国民の自由な意思の結果である。そのように国民多数に民主的な国政舞台で支持される政治家や政党に「極端」とか「超少数」を意味する「極右」というレッテルを貼るのは、特定の政治偏向を思わせる。
ここで保守主義、リベラリズムの簡単な定義づけに触れておこう。
保守主義とは国家運営のうえでは、自国の利益の最重視、政府規制の緩和、自国の文化や伝統の尊重、軍事力の効用の認識などが柱だといえる。反対にリベラリズムとは、国際協力の重視、国内での政府規制の強化、軍事力の軽視などが特徴だろう。
ただしこの保守、リベラルの区分はアメリカでの基準に従っている。保守主義といえば、まあ万国共通のイデオロギーといえるが、リベラリズムはアメリカとヨーロッパでは意味がかなり異なる。この報告では私自身が慣れ親しんできたアメリカでの定義づけを優先した。
第三の新年の国際情勢での顕著な傾向は軍事力の役割の拡大だといえる。
2024年末までの世界の混迷や危機は軍事という要素が主体だった。ロシアのウクライナ侵攻はまさに軍事攻撃だった。ハマスによるイスラエル攻撃も同様である。中国が侵略的な膨張を続けるのも軍事力の大増強が基盤となる。北朝鮮が核兵器や長距離ミサイルの開発で世界を動揺させるのもまさに軍事行動そのものである。
国際情勢の変化の要因はもちろん軍事だけではない。だが至近の国際情勢の不安定化は特定国家の軍事行動が主体となってきた。具体的には専制国家群が
軍事的手段によりアメリカ主導の既存の国際秩序を崩すという動きが顕著だったのだ。こうした変動の原因は超大国のアメリカが軍事軽視という方向へ動いたことが大きい。バイデン政権が民主党リベラル派の伝統ともいえる軍事軽視、軍事忌避の傾向を深めたのだ。
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