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米抑止力の復活「2025年を占う!」国際情勢

Japan In-depth / 2024年12月30日 14時13分

 バイデン政権はまずアメリカの国防予算を抑制した。最新の会計年度では名目上の前年比がわずか1%増、インフレ率を引いた実質ではマイナスとなる。新兵器の開発もトランプ前政権が決めた重要案件を取り消してしまった。そのうえに周知のようにバイデン大統領はロシアのウクライナ侵攻の際にはアメリカは経済制裁で対応すると述べ、すべての軍事的対応を排除したのだった。





 新しい年はトランプ次期政権がこのアメリカの軍事収縮を逆転させる。その意味では国際情勢での軍事力の役割がまた拡大するわけだ。同時にこれまで軍事力を陰に陽に使って自国の野望を広げ、アメリカ主導の世界秩序にチャレンジしてきた反米専制国家群にとってもなお軍事力の効用は重要であり続ける。





 ましてウクライナ戦争での無人機、人口知能(AI)、サイバー攻撃などの広範な導入で近代戦の基本的性格が変わったと指摘される。多数の国が軍事力の内容や質を新たな高度技術の大幅採用で変革を図る。軍事力自体が大きく変わる国際環境でもあるのだ。





 第四は経済という事象の位置づけの変化である。





 国際関係の議論では長年、経済さえうまくいっていれば、各国間の関係も円満に留まる、という思考があった。各国の国内経済が安定し、他の諸国との経済関係も円滑であれば、世界は安定し、平和と安定が保たれるという考え方である。経済至上主義とも呼べるだろう。世界の政治や安全保障もそもそも経済が成長し、安定していれば、支障はない、という思考でもあった。





 新しい年にはこの経済至上主義が現実には機能しないことがますます明白となるだろう。「ますます」というのは経済を最優先とし、至上とする思考はすでに2022年ごろから崩れてきたからだ。2025年にはその状況がさらに明確になるというわけだ。





 ロシアのウクライナ侵攻は経済至上主義の瓦解を意味した。ロシアとウクライナさらにはその背後にいる欧米側との間には骨太の経済の絆があったからだ。米欧側はそうしたロシアとの天然ガスや石油というエネルギー源の経済交流を一気に遮断して、ロシアの侵略行動への制裁とした。トランプ大統領の再選後の方針表明をみても、中国に対しては従来の経済的交流に対して全面停止に近いディカップリング(切り離し)を主張する。当の中国も政治や安全保障面での自国にとって不快な案件では遠慮なく経済を結びつけ、恫喝の手段とする。





 この傾向は要するに主権国家の対外関係では経済は手段であり、目的ではない、という現実志向だといえる。その反対が経済こそが目的だとする経済至上主義だった。





 さて以上のような新年の国際潮流は日本にとってなにを意味するのか。





 国家主権の明確化、国際協調の限界、軍事力の効用、経済至上主義の崩壊と、いずれも日本にとっては難題である。なぜなら戦後の日本の国家体制、そして対外姿勢はこの新たな傾向とは反対方向を向いてきたともいえるからだ。





この国際変動にどう柔軟に対処できるか。日本にとっての国家の根幹のあり方を問われる曲がり角だともいえよう。









トップ写真:アメリカのトランプ次期大統領





出典:Allison Robbert-Pool/Getty Images





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