1. トップ
  2. 新着ニュース
  3. 社会
  4. 社会

補正予算という麻薬が将来の国民を蝕んでいる

Japan In-depth / 2024年12月31日 23時0分

補正予算という麻薬が将来の国民を蝕んでいる




清谷信一(防衛ジャーナリスト)





【まとめ】





・来年度予算案、115兆500億円と過去最大に。





・本予算で支出されるべき防衛予算が補正予算で調達され国家予算の全体像が不透明。





・第二次安倍政権以降導入された事項要求は概算要求を過少に見せる世論操作に利用されてきた。





 





政府予算案が発表された。一般会計の歳出総額は115兆5千億円程度に上り、23年度の114兆3812億円を超え、当初予算ベースで過去最大となった。歳入(収入)のうち税収は78兆4千億円程度に過ぎず、税収で賄い切れない分は新たに国債を28兆6千億円程度発行して賄う。歳出総額の4分の1を政府の借金の国債で穴埋めする。だが既に我が国の財政赤字はGDPの1.6倍であり、第2次世界大戦末期を超えるレベルであり、いつまでも借金ができるわけではない。





だが、実は政府予算案の額だけを見て予算は議論できない。来年度予算と当年度の補正予算が一体化しており、国家予算の全体像が見えにくく、不透明になっている。





一般会計の総額約13兆9000億円となる今年度の補正予算案が17日、参議院予算委員会で締めくくりの質疑に続いて採決が行われ、自民・公明両党と日本維新の会、国民民主党の賛成多数で可決された。第二次安倍政権以降、この補正予算は本来の目的ではなく、バラマキ政策のために悪用されている。特に顕著なのは防衛予算だ。翌年度の予算と当年度の補正予算が一体化している。本来本予算で調達すべき装備の類が補正予算で調達されている。これは財政法上も大問題だ。このような不透明な補正予算の「悪用」は国会軽視でもあり、財政の放漫化を招いている。





8月に発表された概算要求は117兆6,059億円と、過去最大規模の予算だった。これが政府予算案では115兆5千億円まで削られている。だがその削った分を本年度の補正予算で補填している構図となっている。





本来政府予算における補正予算とは、当初予算(本予算)成立後に発生した事由によって、当初予算通りの執行が困難になった時に、追加的に組まれる予算である。なお、財政法第29条で「法律上又は契約上国の義務に属する経費の不足を補うほか、予算作成後に生じた事由に基づき特に緊要となった経費の支出(当該年度において国庫内の移換えにとどまるものを含む。)又は債務の負担を行うため必要な予算の追加を行う場合」と規定されている。





例えば防衛予算ならば原油が高騰したり、為替が大幅に変動して艦艇や航空機などの燃料費が足りなくなり、当初予定した燃料費では賄えない場合とか、東南アジアで大災害が発生、派遣された自衛官の手当を含むその救援に使用した費用などが発生した場合など、予算編成時に予測できなかった費用を賄うものである。





この記事に関連するニュース

トピックスRSS

ランキング

複数ページをまたぐ記事です

記事の最終ページでミッション達成してください