トランプ新政権の日本への意味とは その1 日本側「識者」の誤認の危険性
Japan In-depth / 2025年1月5日 20時49分
日本でもトランプが大統領になれば何をするかわからない、日米同盟が壊れるかもしれないなどと危険視する論調がありました。「もしトラ」なんていう言葉があったほどです。そうした表現自体が万一トランプになったら大変だという対アメリカ認識に基づいていたわけです。選挙の結果が明確となったいまとなっては、トランプ圧勝というアメリカ国民の選択に対しても間違った捉え方をしていたこととなります。
話は飛躍するようですが、かつて日本国がアメリカの動向を見誤った結果、大東亜戦争への道を突き進んだことを忘れてはなりません。つまりアメリカという国がいまどんな状態にあるのか、アメリカ国民はなにを考え、望んでいるのか、という読みを間違えるということです。日本にとって致命的な重要性を持つ同盟相手のアメリカの国のあり方を正確に把握できない、というのは深刻な事態なのです。
――トランプ大統領、あるいはトランプ陣営の実際の政策をどう認識するか、という点が重要なのでしょうね。「もしトラ」という日本側の表現自体にきわめて情緒的な反応を感じます。
古森 こうしたトランプ再登場の日本にとっての意味も、選挙結果の分析とともに、アメリカ政治の大きな流れのなかで考えるべきです。そのうえでトランプ陣営の政策とはなんなのか、冷静に認識することが必要です。
アメリカの分断が問題だと言われますが、その原因はオバマ政権の頃から顕著になったアメリカの「左傾化」にあると思うのです。日本側の多くの「識者」とされる人たちは逆にトランプ大統領の登場がアメリカの分断を生んだ、という主張を展開しています。
アメリカ合衆国は伝統的に、内にあっては自由、競争、平等、さらには民間の企業を大事にする。外に向かっては強固な軍事力を保持して、「力の平和」を進める。強くて豊かで自由、というのがアメリカらしいアメリカだと考えられてきたわけです。
それに対する反発は以前からリベラル派のなかにはありました。従来の強いアメリカ、自由で奔放なアメリカ、キリスト教の教えを保つアメリカ、になにか深刻なトラブルが起きれば、そのアメリカらしいアメリカへの反発が高まるわけです。その種の波に乗って大統領になったのがバラク・オバマでした。オバマにとってのアメリカは国内では奴隷制、対外的には帝国主義的で侵略的な国ということになったのです。つまりは本質部分で悪いところのある国がアメリカ合衆国だ、というわけです。
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