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ソウル西部地裁への市民の侵入はなぜ起こったのか

Japan In-depth / 2025年1月23日 11時0分

ソウル西部地裁への市民の侵入はなぜ起こったのか




朴斗鎮(コリア国際研究所所長)





【まとめ】





・尹錫悦大統領が逮捕され、韓国憲政史上初の現職大統領の逮捕となった。





・裁判所の不公平な対応に市民が激怒し、違法行為が発生した。





・逮捕された青年の手記が話題となり、韓国社会の分裂と反国家勢力の影響が浮き彫りになった。





 





ソウル西部地方裁判所の車恩京(チャ・ウンギョン)部長判事は1月18日、尹錫悦(ユン・ソンニョル)大統領に対する令状審査を行った。





尹大統領は令状審査に出席し、45分にわたり非常戒厳令の正当性と拘束捜査の不当性を強く訴えた。裁判所はこの訴えを受け入れず、4時間50分後の1月19日午前2時50分ごろに逮捕状を発付した。その理由は「被疑者が証拠隠滅する恐れがある」という極めて素っ気ないものだった。





通常、逮捕状の審査では犯罪容疑が疏明されるか、証拠隠滅や逃走の恐れに対する判断根拠やその理由が提示される。ところが憲法裁判所の弾劾審判に大きな影響を与えかねない現職大統領の逮捕状発布について、ソウル西部裁判所が説明した理由はわずか15文字で1行だった。証拠隠滅の恐れについての理由説明もなく、逃走の恐れや犯罪疏明についても説明がなかった。





現職大統領が逮捕・勾留されるのは憲政史上初めてだ。1980年以来、8人の前職大統領のうち全斗煥(チョン・ドゥファン)、盧泰愚(ノ・テウ)、李明博(イ・ミョンバク)、朴槿恵(パク・クンヘ)元大統領はいずれも逮捕されたが、全て退任後だった。





尹大統領は、逮捕期限を含め最長で20日間勾留(期限は2月5日)された状態で取り調べを受け、2月6日までに起訴されるかが決まる。裁判所がこれまで有力政治家などの逮捕状を発布あるいは棄却した例と今回を比較すれば、公平性に大きな問題がある。国会が承認した野党共に民主党の李在明(イ・ジェミョン)代表の逮捕令状を棄却され、曺国(チョ・グク)には二審で実刑を宣告しながらも法廷拘束はせず、総選挙に出馬し当選する道を開いた。





こうした裁判所の不公平さに激怒した一部市民(若者が半数を占めていた)が西部地裁になだれ込み器物を破壊するなど違法行為を働いた。このソウル西部地裁建造物侵入事件で現行犯逮捕され、21日午後5時頃釈放された青年の手記が、いま韓国で話題を集めている。この手記の中に裁判所侵入の真実が垣間見えるからだ。





以下その手記の全文を紹介する。





<私は愛国者ではありません>





いつからかこの地の「民主」は「共和」を脅かしてきました。これは特定の政党の話ではありません。いつからか私たちの政治は、「何をするのか」悩まなくなりました。持てる資源を「どのように分配するのか」を決めるために汲々としました。多くの意思決定は、私たちの社会を、得をしている集団と損をする集団に分け、すべてに利をもたらすという「共和」理念が民主的権力によって毀損されました。私はこの半分だけの民主共和国をヘル朝鮮と呼んで蔑んできました。私はこの国が嫌いです。





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