ウィラーがマレーシアでMaaSの合弁会社設立、政府も公共交通を推進へ(マレーシア)
ジェトロ・ビジネス短信 / 2024年2月14日 0時40分
大手高速バス運行会社のWILLER(ウィラー、大阪府)は2月1日、バス事業を中核とするマレーシアの投資持ち株会社ナディコープと合弁会社を設立、マレーシアでモビリティ・アズ・ア・サービス(MaaS)プラットフォームの開発・提供を行うと発表した。同社は2023年3月に、ナディコープとの協業で人工知能(AI)オンデマンド交通サービス「mobi」の実証調査をクアラルンプール首都圏のスバンジャヤで開始していた。人々のファースト/ラストワンマイルの移動を支え、暮らしを快適にするとともに、AIを活用した効率的な最適ルートの検索により交通渋滞や交通事故、環境汚染などの社会課題解決への寄与を目指す。
なお、クアラルンプール首都圏ではほかに、プラサナ・マレーシアによる「kumpool」、アジア・モビリティ(Asia Mobiliti)による「Trek rides」というオンデマンド交通(DRT)サービスが各地で実証実験を行っている。
政府も配車サービス含めた公共交通の利用を促進へ
クアラルンプール首都圏では、公共交通網が拡大してきたものの、依然として車が主な移動手段であり、エリアや時間帯によって発生する渋滞が慢性的な社会課題だ。温室効果ガス排出削減の観点からも、MaaSを含めたマルチモーダルな交通網の整備が求められている。
クアラルンプール市は、2030年までにGDP当たりの温室効果ガス排出原単位(排出量)を70%削減(2010年比)し、2050年までのカーボンニュートラル実現を目指している。目標達成のためのアクションプランが、「クアラルンプール低炭素社会ブループリント2030」および「クアラルンプール気候行動計画2050」において策定されてきた。
2023年11月には、アンワル・イブラヒム首相が「クアラルンプール構造計画2040:皆のための都市(PSKL2040)」を発表した。これにより、持続可能な都市開発と都市生活者のウェルビーイングの実現に向けた、詳細な目標や戦略、行動計画が示された。この中で、モビリティ分野では2040年のモーダルシェアを公共交通機関70%(注)、自家用車30%とする目標の1つに盛り込まれている。公共交通網の拡充や徒歩や自転車の利用推進に加え、配車などのサービスの利便性を高める方向性が示された。
(注)70%目標には、タクシーや配車サービスも含めた公共交通機関が40%、歩行者やマイクロモビリティ利用者が30%含まれている。
(山口あづ希)
(マレーシア)
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