IMFがMENA地域の2024年成長見通し発表、2.7%に減速の予測(中東、アフリカ)
ジェトロ・ビジネス短信 / 2024年4月24日 0時55分
IMFは4月18日に発表した「地域経済見通し(中東・中央アジア)」で、2024年の中東・北アフリカ(MENA)地域(注1)の実質GDP成長率の予測を2.7%とし、2023年10月時点予測の3.4%から下方修正した。この数値は、2024年の世界の経済成長率予測の3.2%を下回っている(2024年4月17日記事参照)。
IMFは下方修正の要因として、MENA地域での紛争や、石油の減産などを挙げている。特に、イスラエル・ハマス衝突による紛争はMENA地域経済の主要な下振れリスクとした。また、紅海物流の混乱が長引くことで貿易量と輸送コストへの影響が継続し、スエズ運河からの収入の減少によって、エジプト経済への影響が大きくなると予想している。なお2025年にはこれらの要因の影響が薄れると想定しており、MENA地域の経済成長率は4.2%と予測している。
国・地域別にみると、石油輸出国(注2)の2024年の成長率は2023年の1.9%から2.9%に増加すると予測されている。湾岸協力会議(GCC)諸国全体では2.4%となった。OPECプラスの一部加盟国による自主減産を受け、GCC諸国の成長率は2023年に0.4%と急激に減速したが、各国の経済多角化計画により石油への経済的依存が低下し、非石油部門が成長を牽引することが期待されている。
MENA地域の2024年のインフレ率予測は15.4%で、2023年10月時点予測から0.4ポイントの上方修正となった。
MENA地域の経常収支は、2024年はGDP比2.7%の黒字だが、2023年の同5.3%の黒字からは縮小する見通しだ。なお、MENA地域の新興市場・中所得国(注3)においては、原油価格の下落により輸入コストは低下しているものの、内需拡大とそれに伴う輸入の増加により経常収支の悪化が予想され、2023年のGDP比マイナス3.0%から、2024年はマイナス6.3%へと赤字が拡大する見込みだ。
(注1)IMFの定義では、MENAはアルジェリア、バーレーン、ジブチ、エジプト、イラン、イラク、ヨルダン、クウェート、レバノン、リビア、モーリタニア、モロッコ、オマーン、カタール、サウジアラビア、ソマリア、スーダン、シリア、チュニジア、アラブ首長国連邦(UAE)、ヨルダン川西岸地区およびガザ地区、イエメンの22カ国・地域。イスラエルとトルコは含まない。
(注2)アルジェリア、バーレーン、イラン、イラク、クウェート、リビア、オマーン、カタール、サウジアラビア、UAEを指す。
(注3)エジプト、ヨルダン、レバノン、モロッコ、シリア、チュニジア、ヨルダン川西岸地区およびガザ地区を指す。
(夏目みゆき、久保田夏帆)
(中東、アフリカ)
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