国家再生基金公社、レアアースプロジェクトに2億豪ドル支援（オーストラリア）

オーストラリア政府系独立金融機関の国家再生基金公社（NRFC）は1月15日、同国の鉱山探査会社アラフラ・レア・アースに対し、同社のレアアースのプロジェクト「Nolans Project」の開発資金として、2億オーストラリア・ドル（約196億円、豪ドル、1豪ドル＝約98円）を支援することを発表した。NRFCにとっては、2023年9月の発足以来、最大の支援額となる。

Nolans Projectは、北部準州のアリススプリングスの北135キロの場所で、ネオジム・プラセジオム（NdPr）というレアアースを採掘・加工するプロジェクトだ。同プロジェクトが立ち上がれば、2032年以降、NdPrの世界需要の約4％の生産が可能となる見通し。雇用面では、建設段階で600人以上、安定操業時には350人以上の雇用が創出される。地元アリススプリングスや先住民コミュニティーにも雇用の機会が提供される。NRFCは、このレアアースが電気自動車（EV）や風力タービン製造に必要な産業用磁石の重要な原料で、ネットゼロへの移行に不可欠なものと説明した。連邦政府のエド・ヒュージック産業・科学相もプレスリリースで「この投資は、経済的にも国家安全保障にとってタイムリーで重要なものだ」と述べた。

NRFCは連邦政府の2022年度予算案（2022年11月28日記事参照）に基づいて設立され、150億豪ドル規模の「国家再生基金」の施策を実行する政府系独立金融機関だ。2023年国家再生基金公社法の策定を経て、同年9月に発足した。その役割は産業の多様化やイノベーション、雇用創出のために、優先分野の企業やプロジェクトに対し、融資、株式、保証のかたちで資金支援を行う。優先分野は再生可能エネルギー・低炭素技術、メディカルサイエンス、運輸、農林水産業、資源の付加価値向上、防衛、先端産業となっている。NRFCはこれまで、ニューサウスウェールズ（NSW）州のクラウドサービス企業Vault Cloud（2,250万豪ドル）、南オーストラリア州の衛星通信企業ミリオタ（2,500万豪ドル）、NSW州の量子技術企業クアンタム・ブリリアンス（1,300万豪ドル）などへの資金支援を発表してきた。

（青島春枝）

（オーストラリア）