米商務省、オーストラリアと英国向け防衛関連製品の輸出許可要件の大幅緩和を発表(米国、英国、オーストラリア)
ジェトロ・ビジネス短信 / 2024年4月19日 15時10分
米国商務省産業安全保障局(BIS)は4月18日、防衛関連製品の貿易とイノベーションを促進するため、オーストラリアと英国に対する輸出許可(ライセンス)要件を大幅に緩和する暫定最終規則(IFR)を発表した。正式には4月19日付で官報に公示する予定だ。BISは、今回のIFRにより、両国への輸出のライセンス申請が1,800件以上減少すると見込んでいる。
BISの発表によると、今回のIFRにより、輸出管理規則(EAR)上の軍事品目、ミサイル技術関連品目、ホットセクションエンジン関連品目(注1)をオーストラリアと英国へ無許可で輸出または再輸出できるよう、規制品目リスト(CCL)のライセンス要件を撤廃する。例えば、オーストラリアと英国を仕向け地とする際に、安全保障(NSのコラム1)、地域安定(RSのコラム1)、ミサイル技術(MTのコラム1)を規制理由とするライセンス要件を削除する。オーストラリアと英国を仕向け地とするNSとRSのコラム2は、現状ではライセンス要件を課されていないことから、NS、RS、MTを理由とするライセンス取得が不要になる(注2)。
ただし、銃器関連品目は引き続きライセンス取得対象となるほか、特定の人工衛星、その関連品目、化学兵器禁止条約(CWC)に基づいて管理されている特定品目、供給不足を理由に管理されている品目(特定の石油製品、ウエスタンレッドシダーなど)、特定の法執行用拘束具、暴動鎮圧用具、拷問器具または処刑器具、海上輸送で輸出される馬についても、引き続きライセンス取得が必要となる。
今回のIFRは、官報に公示された日に発効する。IFRに対してコメントがある場合、公示後45日以内に連邦政府のポータルサイト(BIS–2024–0019)から提出する必要がある。
BISは今回の規則変更の背景に、米国、オーストラリア、英国が安全保障協力に関する枠組み「AUKUS(オーカス)」で協力していることや、オーストラリアと英国での防衛関連の法整備の強化を挙げている。
(注1)日本の国土交通省によると、ホットセクションとは、燃焼ガスにさらされる燃焼室、 タービン、排気ノズルの部分を指す。官報案では、輸出管理番号(ECCN)9E003.a.1~a.6、a.8、.h、.i、.lとそれに関連して規制されている民間航空機のエンジン、部品、システムの開発、製造、オーバーホールのためのホットセクション技術とされている。
(注2)例えば、NSを理由としたライセンス要件でも、ECCNごとにコラムによって規制レベルを分けている。なお、MTはコラム(規制レベル)が1つしかない。
(赤平大寿)
(米国、英国、オーストラリア)
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