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2月の米雇用者統計、失業率上昇も、雇用者数や賃金は依然として強い数字(米国)

ジェトロ・ビジネス短信 / 2024年3月13日 16時10分

添付資料PDFファイル(324 KB)

米国労働省が3月8日に発表した2月の非農業部門雇用者数は前月より27万5,000人増と、市場予想の19万8,000人増を上回った。なお、1月の数値は35万3,000人から22万9,000人に大きく下方修正され、同月の商業・運輸・倉庫業や金融業の雇用者数はマイナスに転じている。

就業者数は前月より18万4,000人減少し、失業者数は33万4,000人増加した。失業者のうち、一時解雇の失業者は4万9,000人減の82万7,000人、恒常的失業者は17万4,000人増の173万人だった。平均失業期間は20.9週間と前月からほぼ横ばいだった。

労働参加率は、生産年齢人口が前月より17万1,000人増の2億6,771万人、労働力人口が15万人増の1億6,743万人となった結果、62.5%と横ばいだった。

以上の要因により、失業率は前月より0.2ポイント上昇し、3.9%だった(添付資料表1、図1参照)。市場予想は3.7%で、予想外の上昇となった。失業率について年齢別でみると、25歳から54歳のいわゆるゴールデンエイジの失業率は前月から変わらない3.3%、55歳以上は前月から0.1ポイント低下の2.8%だったのに対し、16歳から24歳の若年層は前月から再び大きく上昇して8.8%となり、若年層の失業率が今回の失業率上昇の主たる要因となっている。

2月の雇用者数の前月差27万5,000人増の内訳をみると、民間部門は22万3,000人増、うち財部門が1万9,000人増、主な業種としては建設業が2万3,000人増、製造業が4,000人減だった。サービス部門は20万4,000人増、主な業種では、教育・医療サービス業が8万5,000人増、娯楽・接客業が5万8,000人増、運輸・倉庫業が4万人増だった。政府部門は5万2,000人増だった(添付資料表2、図2参照)。

平均時給は34.6ドル(前月34.5ドル)で、前月比0.1%増(前月は0.5%増)、前年同月比4.3%増(前月は4.4%増)だった。市場予想は前月比0.2%増、前年同月比4.4%増で、いずれも市場予測を下回った。

前年同月比で伸びが高かった業種は、金融業(5.8%)、製造業(5.3%)、建設業(4.7%)、娯楽・接客業(4.7%)など、伸びが低かった業種は教育・医療サービス業(3.8%)、情報通信業(1.8%)と、前月と同様の傾向だった。

今回の雇用統計の結果はバラついている。雇用統計は個人を対象とする家計調査と事業所を対象とする事業所調査で構成される。家計調査に基づくデータでは、失業者数の増加や雇用者数の減少が報告され、失業率も3.9%と上昇するなど、労働市場が徐々に緩和傾向にあることを示唆している。

家計調査は、事業所調査と比較してサンプリング数が少ないとされるものの、雇用動態調査(JOLT)が示す求人数の緩やかな軟化傾向や、失業保険給付者総数の高止まり(2024年3月6日記事参照)、ベージュブックで報告された労働市場の緩和の動き(2024年3月7日記事参照)などとは整合的な動きだ。

一方、事業所調査に基づくデータでは、新規雇用者数が前月と比較して増加しているなど、むしろ加速しているようにも見える。賃金も、2月は前年同月比4.3%増と前年10月時点から横ばいの状態が続いており、賃金上昇率の低下が足踏みしていることがあらためて確認された。

ブルームバーグ・オピニオンのコラムニストのモハメド・エラリアン氏は今回の結果について、「雇用者数の数字は強弱まちまちで、金融政策当局者にとっては確固たるシグナルがほとんど得られなかった」と述べるなど、労働市場の軟化が実際にどの程度のペースで進んでいるのかは、今回の結果だけでは判別し難い状況だ(ブルームバーグ3月9日)。

(加藤翔一)

(米国)

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