年金に関する国民投票を実施、定年年齢の引き上げは否決(スイス)
ジェトロ・ビジネス短信 / 2024年3月12日 0時40分
スイスで国民投票が3月3日に行われた。今回は年金制度に関するもので、(1)老齢・遺族年金保険(フランス語:AVS、ドイツ語:AHV、英語:OASI)の年13回目の支給と、(2)定年年齢の引き上げについて、2つのイニシアチブ(国民発議、注)の投票が実施され、同日に結果(暫定値)が公表された。
(1)年13回目の年金支給については、投票率58.34%、賛成は58.24%で可決された。このイニシアチブでは、毎年月1回、計12回年金が支給されることに加えて、1カ月分に相当する額を追加し、計13回支給することが提案された。導入された場合、13回目の年金支給にかかる費用は約41億スイスフラン(約6,929億円、CHF、1CHF=約169円)と見込まれ、連邦政府はこのうち約8億CHFを負担することになる。しかし、財源に関する問題は未解決のままだ。投票に先立ち、連邦参事会と連邦議会は、13回目の年金支給にかかる十分な財源はなく、まずはOASIの安定した運用により年金を保障することが必要として、国民へ反対を呼び掛けていた。
(2)定年年齢の引き上げについては、投票率58.10%、賛成は25.28%で、可決に必要な過半数に届かず否決された。このイニシアチブでは、定年を現在の65歳から引き上げ、2033年までに66歳にすることが提案されていた。これにより、OASIにかかる支出が年間約20億CHF軽減される見通しとしていた。しかし、連邦参事会と連邦議会は、定年年齢は経済や雇用の発展など様々な側面を考慮して設定すべきであり、提案のような自動的な年齢の引き上げは厳格すぎるとして、国民に反対票を投じるよう呼び掛けていた。
(注)有権者10万人以上の署名を要件として、国民が憲法改正の提案を行うもの。
(竹上嗣郎)
(スイス)
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