第3四半期GDPは前年同期比2.0%増、政府は国内生産や輸出を支援(ウクライナ)
ジェトロ・ビジネス短信 / 2025年1月21日 16時15分
ウクライナ国家統計局の発表(2024年12月23日)によると、2024年第3四半期(7~9月)の実質GDP成長率は前年同期比2.0%だった。前期比(季節調整済み)では0.2%だった。ユリア・スビリデンコ第1副首相兼経済相は、2025年1月15日に開催された最高会議(国会)経済発展委員会の場で、2024年通年の経済成長率見通しを3.6%と明らかにした。
スビリデンコ第1副首相によると、2024年の経済成長のうち、0.64%分は製造業の発展を目指す「メード・イン・ウクライナ」政策が貢献している。具体的な取り組みとして、公共調達における国産製品使用率の引き上げ準備や、農業機械や地雷除去装置など、いくつかの国産製品購入に対する国家補助、建設資材の需要を創出する低金利の住宅ローンプログラム、国産の消費品の購入を促すキャッシュバックプログラムなどを挙げた。政府は引き続き、付加価値ある製品の国内製造および輸出を収益化するためのビジネス環境の創出に取り組む。
ウクライナの今後の経済成長率について、世界銀行は1月16日に発表した世界経済見通しの中で(2025年1月20日記事参照)、2025年は戦争が継続するという仮定で2.0%、2026年は停戦が実現する条件の下、消費および復興への投資による力強い経済成長により7.0%と予測した。また、IMFは2024年12月、それぞれ2.5~3.5%、5.3%と予測した。2025年の経済が前年に比べ停滞する要因として、労働需給の逼迫やロシアによるエネルギーインフラへの攻撃、食品価格上昇を主因とするインフレ、戦況の不確実性などを挙げた。
12月のインフレ率(前年同月比)は12.0%となり、2024年4月以降伸び率が高まっている。ウクライナ国立銀行(NBU、中央銀行)の分析によると、収穫量の減少による生鮮食品や穀物の価格上昇、エネルギーや労働コストの上昇、通貨フリブニャの下落などが影響している。これらの要因は、2025年の最初の数カ月は継続してインフレ圧力となる見込みだが、2025年後半にはインフレ率は減速し、目標である5%に向かうと予測されている。
公定為替レートは2025年1月13日に、過去最安の1ドル=42.2841フリブニャを記録した。NBUは、外貨の構造的赤字や過度な相場変動を防ぐため、積極的な為替介入を続けている。12月は53億ドル以上の外貨を売却し、これは11月(約27億ドル)の2倍に相当する。一方、国際パートナーからの資金流入により、外貨準備高は1月1日時点で437億8,760万ドルと、将来の輸入の5.5カ月分を保有している。NBUは、2025年に、国際パートナーから約380億ドルの資金流入を見込んでおり、十分な外貨準備高により安定した為替レートの維持が可能、と分析している。
(柴田紗英)
(ウクライナ)
外部リンク
- 米下院の中国特別委員長、恒久的正常貿易関係撤回法案をあらためて提出(中国、米国)
- 「EV義務化」廃止の米大統領令、専門家は不確実性による社会への影響を懸念(米国)
- イラン大統領がタジキスタンを公式訪問、官民で36件の協力文書に署名(ロシア・中央アジア・コーカサス、タジキスタン、イラン)
- 国家再生基金公社、レアアースプロジェクトに2億豪ドル支援(オーストラリア)
- EUの2024年の乗用車新車登録台数、前年からやや増加も、EV不振に懸念強まる(EU)
- トランプ米大統領、OECDの国際課税ルールからの離脱を発表(米国)
- 南ア鉄鋼最大手AMSA、一部事業を停止(南アフリカ共和国)
- スターマー英首相、ウクライナ訪問、100年にわたるパートナーシップに署名(英国、ウクライナ)
- 米NYで米最大規模の国際小売り展示会開催、AIの実用的なソリューションに注目(米国)
- トランプ米大統領就任に対する南ア国民の反応(米国、南アフリカ共和国)
この記事に関連するニュース
-
12月の物価上昇率は前月比2.7%、年率は117.8%も前年から大幅改善(アルゼンチン)
ジェトロ・ビジネス短信 / 2025年1月23日 0時5分
-
2024年12月のインフレ率を前年同月比4.1%と発表(パキスタン)
ジェトロ・ビジネス短信 / 2025年1月21日 0時10分
-
第2次トランプ政権の影響は小さいが…2025年「フィリピンの経済成長」を阻む「3つの潜在的リスク」
THE GOLD ONLINE(ゴールドオンライン) / 2025年1月14日 7時15分
-
中銀、政策金利を4.5%に据え置き、2025年のGDP成長率予測は4.0%に上方修正(イスラエル)
ジェトロ・ビジネス短信 / 2025年1月14日 0時5分
-
2025年、世界経済と金融市場のキーワードは「緩やか」 一方、トランプ政策次第でどう変わる? 楽天証券経済研究所・愛宕伸康氏に聞く
Finasee / 2024年12月26日 12時30分
ランキング
-
112年ぶりに対馬の仏像返還 「ルールに基づく関係前進の契機に」日韓議連・長島幹事長
産経ニュース / 2025年1月24日 16時52分
-
2トランプ政権、不法移民送還作戦を開始 数百人を逮捕・強制送還
AFPBB News / 2025年1月24日 19時11分
-
3中国・深圳の日本人男児刺殺、40歳代の男に死刑判決…地裁「極めて悪辣かつ重大な犯行」
読売新聞 / 2025年1月24日 20時10分
-
4トランプ氏「関税避けたければ米で生産」、利下げも要求 ダボス会議演説
ロイター / 2025年1月24日 4時46分
-
5日本人義勇兵、ウクライナで死亡…ロシア軍「我々の土地に来ようとする全ての人に改めての教訓」
読売新聞 / 2025年1月24日 10時10分
記事ミッション中・・・
記事にリアクションする
記事ミッション中・・・
記事にリアクションする
エラーが発生しました
ページを再読み込みして
ください