2023年中国「低空経済」の規模は5,000億元超に、深セン市が全国トップ(中国)
ジェトロ・ビジネス短信 / 2024年4月11日 0時20分
中国工業情報化部傘下の研究機関の賽迪顧問は4月1日、「中国低空経済(注1)発展研究報告(2024年)」を発表した。推計では、2023年中国の低空経済の規模が5,059 億 5,000 万元(約10兆6,250億円、1元=約21円)に達する見込みという。
報告によると、2024年2月現在、中国の低空経済関連企業は5万7,000社以上あり、そのうち過去10年間に新設された企業は全体の80%近くを占める。地域別では、関連企業の60%以上が華中、華南、華東地域に位置し、上位50都市に所在する企業は全体の93.3%に達した。都市別では、深セン市、広州市、北京市が上位3位にランクインし、成都市、長沙市、西安市がそれに続いた。
電動垂直離着陸機(eVTOL)については、中国政府が打ち出した低空経済の関連政策とそれに伴ったeVTOL商業化プロセスの加速などの影響を受けて、2023年の産業規模は前年比77.3%増の9億8,000万元に達した。
民間用ドローンの産業規模も拡大しており、2023年は前年比32.0%増の1,174億3,000万元だった。内訳は工業分野が65.3%の766億8,000万元、消費分野が34.7%の407億5,000万元だった。地域別でみると、華南地域に75.4%が集中し、華東地域、華北地域が続いた。
中国の「ドローンの首都」と呼ばれる深セン市、現地政府も低空経済を後押し
そうした中、関連産業をリードする深セン市は2023年12月、低空経済の質の高い発展を目指す政策を発表しており、積極的に補助金を導入し、低空経済を後押しする姿勢を示している(注2)。深セン市交通局の発表によると、2023年末までに深セン市のドローン企業は1,730社以上、年間生産額が960億元に達したという。2024年2月には、ドローンメーカーの上海峰飛航空科技が有人eVTOLとしては世界初となる海上飛行を伴う都市間(深セン市と珠海市)航路の飛行を実現したと発表していた。そのほか、5月24~26日に同市のコンベンションセンター「深セン会展中心」で「2024第9回深セン国際無人機展覧会」が開催される予定だ。
(注1)空飛ぶクルマやドローンをはじめとする民用航空機を中心に、乗客・貨物輸送を含めた低空飛行活動によって、関連分野の発展をもたらす経済形態を指す。
(注2)深セン市政府とは別に、深セン市宝安区も2023年7月に低空経済を促進する施策を発表している(2023年7月24日記事参照)。
(高文寧)
(中国)
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