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米主要港、3月の小売業者向け輸入コンテナ量は前月比1.4%減、今後増加の見通しも、消費者は慎重姿勢(米国)

ジェトロ・ビジネス短信 / 2024年5月10日 14時50分

添付資料PDFファイル(334 KB)

全米小売業協会(NRF)と物流コンサルタント会社のハケット・アソシエイツが発表した「グローバル・ポート・トラッカー報告」(5月8日)によると、3月の米国小売業者向けの主要輸入港(注1)の輸入コンテナ量は前月比1.4%減、前年同月比18.7%増の193万TEU(1TEUは20フィートコンテナ換算、添付資料図参照)となり、NRFが4月時点で予測した180万TEU(2024年4月11日記事参照)を大幅に上回った。前年同月比は比較的大きな伸びとなっているが、2023年3月にアジア各国の旧正月の影響を受けて取扱量が低調だったことの反動増によるところも大きく寄与している。

NRFは今後の見通しについて、4月は前年同月比10%増の196万TEU、5月には同6.8%増の206万TEUと、2022年8月(226万TEU)以来の高水準に達すると予想する。その後、6月は同10.7%増の203万TEU、7月は同5.5%増の202万TEU、8月は同7.1%増の210万TEU、9月は同0.5%増の204万TEUと、高水準を維持する見通しだ。

今回の発表の中で、ハケット・アソシエイツ創設者のベン・ハケット氏は「世界的な地政学的混乱、高金利、経済成長の鈍化にもかかわらず、港湾に流入する商品の量は依然として旺盛だ」としながらも、「現在の問題は、この(コンテナ取扱量の)急増が今後も続くのか、それとも横ばいになるかだ」と、個人消費の先行きに対する懸念を示した。

消費者の支出に対する慎重姿勢はなお強まっており、米小売り各社の決算発表では、消費者が高額な商品を買い控える動きが報告されている(2024年2月27日記事参照)。米国小売り最大手のウォルマートは、食品などの生活必需品を多く取り扱っていることから、他社と比較してもこれまで好調な業績を遂げており、低価格商品を求める高所得層の顧客が拡大したことが同社の売り上げ増に寄与した(2023年5月24日記事参照)。

同社は新たに獲得した消費者をつなぎ止めるため、過去20年で最大規模となる食品のプライベートブランド(PB)「ベターグッズ」を発表するなど、新たな販売戦略を打ち出している。同社によると、全ての所得層でPB商品の売り上げが高い伸びを示しており、特にブランドに対するこだわりが少ないZ世代(注2)など若年の間で支持されているという(ブルームバーグ4月30日)。ウォルマートと競合するターゲットやクローガーなども価格重視の新たなPBを展開(CNBC4月30日)しており、消費者のトレードダウン(注3)志向の継続に対応している。PB製造者協会(PLMA)によると、米国の小売店におけるPB商品の2023年の売上高は2,363億ドルと、2019年比で34%増加しており、今後も長期的な成長が見込まれる。

(注1)主要輸入港は、米国西海岸のロサンゼルス/ロングビーチ、オークランド、シアトル/タコマ、東海岸のニューヨーク/ニュージャージー、バージニア、チャールストン、サバンナ、エバーグレーズ、マイアミ、ジャクソンビル、メキシコ湾岸のヒューストンの各港を指す。

(注2)一般的に、1990年代中盤・後半から2010年代前半にかけて生まれた世代。

(注3)より安価な商品を購入しようとする消費行動。

(樫葉さくら)

(米国)

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