ルト大統領、ケニアビジネスフォーラムで日本企業の投資拡大を呼びかけ(ケニア、日本)
ジェトロ・ビジネス短信 / 2024年2月13日 16時35分
2月6~9日のケニアのウィリアム・ルト大統領の訪日に合わせ、ジェトロは2月8日、東京本部において「ケニアビジネスフォーラム」を開催した(2024年2月13日記事参照)。
講演をするケニア民間セクター連合最高経営責任者カリウキ氏(ジェトロ撮影)
フォーラム後半には、ケニアの主要経済団体による講演が行われた。ケニア商工会議所会頭のエリック・ルト氏は、通信や自動車分野での日本企業とケニア企業の協業例や、新規締結予定の化学工業分野での2カ国企業の覚書(MoU)を紹介し、さらなる2カ国の協業を促した。また、ケニア民間セクター連合の最高経営責任者のキャロル・カリウキ氏は、TICAD6はケニアへの日本企業進出に大きく貢献したとし、TICAD9がさらなる日本の投資をもたらすことを期待した。これらに対し、吉田宣弘経済産業大臣政務官は、東アフリカへのゲートウェイであるケニアは、日本企業のアフリカ地域の注目国として8年連続首位〔2023年度 海外進出日系企業実態調査(アフリカ編)参照〕であり、日本にとって重要な経済パートナーだと応えた。
講演をするミアノ投資・貿易・産業長官(ジェトロ撮影)
ケニア政府からはまず、レベッカ・ミアノ投資・貿易・産業長官が登壇し、国際機関の調査データを引用して、「ケニアは、世界最速の経済成長を果たしている国であり、人材の質はアフリカで最も高く、グリーンフィールドの投資環境も改善が著しい」と述べた。また、ケニアに投資すべき7つの要素として、1.安定した経済、2.熟練した労働力、3.アフリカ最先端のグリーントランスフォーメーション(注)、4.民主主義、5.物流とイノベーションのハブ、6.投資財産の安全性、7.奨励経済特区と工業団地の充実、を挙げた。続いて、ムサリア・ムダバディ内閣筆頭外務・ディアスポラ担当長官は「ケニアは法に則した民主主義国家であり、国際機関や金融、海外メディアの拠点が最も多く集まるハブだ」とケニアの重要性を強調した。
フォーラムの最後に基調講演を行ったルト大統領は、民主主義で法治国家であるケニアへの投資はアフリカで最も安全だと呼びかけ、「アフリカはこれから、世界最大のマーケット、最大の労働力供給先となり、最大の再生エネルギーの貯蔵国となる。日・ケニアの首脳は政策レベルのフレームワークや貿易における規制・法整備を進めている。日本企業がこれらの『道具』を活用し、投資を拡大することを望む。自動車、ダム建設、再生エネルギー発電所などの既存事業の動向を見ても、日本がケニアのポテンシャルに気が付いていることは明らかだ」と述べた。
基調講演をするルト大統領(ジェトロ撮影)
フォーラムの最後には、質疑応答が行われ、日本企業からの質問にルト大統領が応じた。東アフリカ共同体(East African Community:EAC)についてルト大統領は、「域内貿易は現状30%前後で目標水準へ達していないが、ケニアはEACの約40%のGDPを占めており、先頭を切ってEACの統合と拡大を進めていく。人の移動については、ケニアは2024年1月に入国に際するビザを廃止し(2024年1月12日記事参照)、ビジネスに欠かせないスピーディな意思決定のための潤滑な出入国を目指している。EAC域内の労働者の移動も活発化するだろう。また、EAC域内で自国通貨決済ができるように議論を進めている」と返答した。ケニアの人的資本については、「職業・技術教育訓練(TVET)への国家予算を倍増、教育予算も約4割増強した。エンジニアの育成に向けては、欧米のIT大手企業と共同でトレーニングプログラムを開発し、国際的に通用する人材育成へ投資している」と述べた。
質疑応答でのルト大統領(ジェトロ撮影)
(注)ケニアでは使用エネルギーの93%が再生可能エネルギーとなっている。
(吉川菜穂)
(ケニア、日本)
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