シンガポール発スタートアップ、北九州市で日本初の実証プロジェクト実施(北九州、シンガポール)
ジェトロ・ビジネス短信 / 2024年4月4日 10時55分
北九州市の「グローバルアクセラレーションプログラム(GAP-K)」(2023年度)(注1)に採択(2023年11月2日記事参照)されているスタートアップ、サウンドアイ(SoundEye、本社:シンガポール)は、2024年2月から3月にかけて、同社として初めての日本での実証プロジェクトを北九州市内の施設で実施した。
サウンドアイは、音声認識やLiDARセンサー(注2)データの処理技術を用いて、高齢者などの安全を見守るモニタリング製品の開発・販売を行う。シンガポールでは、高齢者施設や病院、空港などで導入実績を持つ。日本市場への進出に向けて、日本の介護現場でのヒアリングや実証プロジェクトを希望していた同社は、2023年11月にはジェトロのグローバル・オープン・イノベーション事業(個別招へい)で来日し、GAP-Kを通じた北九州市の支援の下、市内の2施設での実証が実現した。
2024年2月初旬の機器設置後は、北九州市職員経由で複数回にわたり施設職員からのフィードバックを受けて、シンガポールから遠隔で製品の改良を進めた。3月27日に北九州市SDGsスタートアップエコシステムコンソーシアム(注3)主催で開催されたイベント「WORK AND ROLE 2024」では、GAP-Kを通じた成果発表のセッションにCEO(最高経営責任者)のヨーキー・タン氏が登壇し、実証の進捗を報告した。また、同社は、イベント前後の3月26日と28日に実証を行っている施設も訪問した。
今後は、設置場所を変えて、さらに2カ月間実証を継続する。施設と連携した共同研究・開発を続けつつ、北九州市への拠点設立の手続きを開始する予定だ。
実証を行う施設での機器確認(ジェトロ撮影)
「WORK AND ROLE 2024」で行われた、サウンドアイのピッチ(ジェトロ撮影)
(注1)事業規模の拡大が見込まれるスタートアップ企業に対し、専門家による強力な伴走支援を行うプログラム。
(注2)LiDARとは、レーザー光を使ったリモートセンシング技術の1つ。対象物までの距離や物体の形状などを高い精度で検出できることが特徴。
(注3)2020年2月に設立した産官学金(民間企業、行政など、大学・高専、金融)連携によるスタートアップ支援の枠組み。北九州市は2020年7月に内閣府の「スタートアップ・エコシステム推進拠点都市」に採択された。同市はスタートアップ支援ポータルサイト、対日投資ホームページを公開している。
(菊地香穂)
(北九州、シンガポール)
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