反LGBTQ+法案可決に対する国際社会の批判と経済支援制限の可能性(ガーナ)
ジェトロ・ビジネス短信 / 2024年3月25日 0時40分
ガーナ国民議会は2月28日に人間の性的権利と家族の価値観に関する法案〔反LGBTQ+(注)法案〕を可決した。アクフォ・アド大統領が同法案を承認すれば、正式な法律として施行されることとなり、国際機関などからの経済援助が制限される可能性も出てくるなど、重要な分岐点を迎えている。
アフリカでは多くの国が同性愛行為を禁止している。ウガンダでは2023年5月、死刑を含む厳格なLGBTQ規制法が成立し、米欧などが反発した。ガーナでも、同法案では同性愛行為に最大3年、LGBTQ+関連の活動を推進もしくは支援する行為には最大5年の懲役刑を科す内容となっている。
アド大統領は3月4日、「この法案の合憲性に対し、市民から最高裁判所へ異議申し立てがなされた」とし、同法案を判断する前に、最高裁の判決を待つとの声明を出している。3月18日には大統領府が発行した国民議会宛てレターでも、最高裁の判断が出るまで、国民議会が大統領に法案を送ることは不適切と強調している。また、ゴッドフレッド・ヤボワ・ダミイ法務長官は、問題が最高裁で解決されるまで、法案に関していかなる行動もとらないよう大統領に助言したことが明らかになっている。さらに、20日には法案の受領を拒んだ大統領に対して、国民議会のアルバン・バビン議長が「確立された民主的慣行を逸脱するのみならず、協力的な統治と相互の尊重の精神を損なっている」と批判し、緊迫した状況が続いている。
財務省は、法案が成立した場合、今後5~6年間で世界銀行からの融資だけでも38億ドルを失う可能性がある上、現在総額約30億ドルの融資を受けているIMFプログラム(2024年1月31日記事参照)からも外れる可能性があると警告しており、国際機関などからの経済援助の制限で、外貨準備高や為替レートにも影響が及ぶ可能性がある。
この法案については、国際社会から強い非難を受けている。米国政府は「この法案が成立すれば、ガーナの賞賛に値する寛容な伝統が損なわれ、深刻な結果が生じるだろう」と警告し、2023年に反LGBTQ法案が成立したウガンダと同様に、ビザの発給制限などの制裁を科す可能性があることを示唆している。世界銀行やIMF、EUも援助や融資について再考する必要があるとしている。
(注)米国のNGOヒューマン・ライツ・キャンペーン財団(HRC)の定義によると、LGBTQとは、レズビアン、ゲイ、バイセクシャル、トランスジェンダー、クィアの総称。プラス(+)は、そのどれにも当てはまらない、または、どれか2つ以上に当てはまるなど、型にはまらないアイデンティティーも含まれている。
(数実奈々)
(ガーナ)
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