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物価上昇を背景に、経済危機以降で初の最低賃金引き上げを閣議決定(スリランカ)

ジェトロ・ビジネス短信 / 2024年4月8日 0時30分

スリランカ政府は3月25日、全国の月額最低賃金を1万2,500スリランカ・ルピー(約6,250円、1スリランカ・ルピー=約0.5円)から1万7,500スリランカ・ルピーに、全国の最低日給を500スリランカ・ルピーから700スリランカ・ルピーに引き上げることを閣議決定した。改定が実施されれば、2021年8月以来の引き上げとなる。

スリランカでは、2022年春に発生した経済危機によって物価が大きく上昇し、同国最大都市コロンボの2022年9月の物価上昇率は前年同月比69.8%に達した(スリランカの貿易と投資参照)。基準年の2021年を100とするコロンボの消費者物価指数(CCPI、注)は2024年3月時点で196.7を記録しており、物価水準は2021年の約2倍になっている。

スリランカ・センサス統計局(DCS)が3月28日に発表した2024年1月時点の国全体の貧困線(基本的な生活を満たすための1人当たり1カ月の最低支出額)は1万7,014スリランカ・ルピーで、2019年の6,966スリランカ・ルピーの2.4倍となった。コロンボの貧困線は1万8,350スリランカ・ルピーだった。

世界銀行は4月2日に「スリランカ開発最新情報(2024年4月)」を発表し、スリランカ経済に安定化の兆しが見られるとした。2024年の経済成長率は2.2%に達すると予測する一方で、貧困率は4年連続で上昇し、2023年時点で全人口の25.9%が貧困線(1日当たり3.65ドルの支出額)未満で生活していると指摘している。

(大井裕貴)

(スリランカ)

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