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人生100年時代の目線 その1 賃上げ・物価高でも、年金が減る

Japan In-depth / 2024年4月4日 20時13分

人生100年時代の目線 その1 賃上げ・物価高でも、年金が減る




渋川智明(東北公益文科大学名誉教授)





渋川智明の「タイブレーク社会を生きる」





【まとめ】





・株価4万円超と異次元金融緩和の解除。





・賃金物価高も、少子化で年金目減り。





・マクロ経済スライドで緩やかに抑制。





 





全国の100歳以上の高齢者が過去最多の9万2139人になり、2007年に日本で生まれた子供の半数が107歳より長く生きると推計されている。日本は健康寿命が世界一の長寿社会だが、まさに人生100年時代の入り口にさしかかった。





後に続く世代まるごと、人生100年時代の目線で政治経済、社会を、生活を、そして日々の暮らしを支える全世代型社会保障をとらえる必要に迫られている。





■ 異次元金融緩和解除





日銀が17年ぶりに異次元の金融緩和、マイナス金利の解除を決めた。株価4万円超のバブル越えで、今春闘は大企業主要産業は5%越えの満額回答が相次いだ。





「賃金と物価の好循環を確認し、2%の物価目標が持続的・安定的に実現していくことが見通せる状況に至ったと判断した」。





植田和男・日銀総裁はこれまでの異次元金融緩和はその役割を果たした、と表明した。デフレ脱却と賃上げ、株高。物価が適正に上がることが考慮されている。シナリオ通りに進むかは、これからの景気動向を見守るしかない。





4月からも物価は上がり続けている。





働く現役世代の賃金が上がり、コストが物価に転嫁されても、消費意欲が高まり景気好循環となる。そんなポジティブな捉え方がある。大企業正社員が潤うのは、それはそれで結構なことだが、平均寿命が上がり、65歳以上の高齢化率は30%に手が届きそうな超高齢化社会。2025年は団塊世代全体が75歳以上の後期高齢者に達する。





今や100歳を超える長寿者も10万人に迫っている。つまりは退職世代が増え、65歳から満額支給の公的年金生活者が3割に及ぶということでもある。レイオフや早期退職者を含めれば、年金生活者の割合はもっと高くなる。





2024年度の年金は数字上2.7%増だが、実質0.4%目減り、株高による賃上げ・物価高に加え、公的年金資産は投資運用で、利益を上げている。年金支給額にスライドされれば、受給者も恩恵に預かれる~と、思う人も多いのではないか。これがそうはならない。





厚生労働省は2024年度の公的年金の支給額を2.7%引き上げると発表した。









▲図 令和6年度の年金額の例 出典:厚生労働省





試算モデルでは、自営業者らが入る国民年金は40年間保険料を納めた満額支給の場合、68歳以下は1750円増の月6万8000円、69歳以上は1758円増の月6万7808円。会社勤めをした夫と専業主婦モデルで厚生年金を受け取る夫婦2人の世帯で6001円増の月23万483円になる。





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