「朝型勤務」導入で分かれる企業の明暗
JIJICO / 2015年5月15日 16時0分
「朝型勤務」導入で分かれる企業の明暗
厚労省が「朝型勤務」を推奨することを検討
厚生労働省は、「労働時間等の設定の改善に関する特別措置法」に基づく指針で「労働時間等見直しガイドライン(通称)」を改定。一定時刻以降の残業は禁止し、終わらなかった仕事を早朝にまわす「朝型勤務」を推奨することを検討しています。
朝型勤務の導入のメリットとしては、「(1)時間の限られた朝の勤務で業務を行なうことで、仕事の効率化を図り残業時間を減らすこと」が第一に挙げられます。夕方以降の残業について、公共交通機関を利用して通勤する社員の場合、終電までがリミットとなり、定時から5時間程度の時間を取ることができるため、「ダラダラ残業」につながりやすい傾向がありますが、それを防ぐことができます。
朝型勤務導入のメリットは非常に大きい
また、「(2)夕方以降の残業を制限することで、早く帰る職場環境を作りやすくなること」もあるでしょう。退社時間を早めることで、家族と過ごす時間を増やすことができ、趣味など自己啓発にあてることができることから、結果として、社員の生活が安定し、能力の向上にもつながります。
その他、「(3)健康面から考えると、夕方以降の残業により、夜型の生活を続けることにより、うつ病などの発症、自律神経の不調などのリスクが高くなりますが、それを抑えることができる」と言われております。
上記のことから朝型勤務導入のメリットは非常に大きいと言えます。実際、伊藤忠商事が昨年11月から試験的に導入し、今年5月から本格的に導入を行って成果が出ていることは非常に知られているところです。
残業タイプが「過重労働型」であれば、朝型勤務導入は危険
しかし、朝型勤務導入については、大きな危険があることを注意しなくてはいけません。そもそも、残業が発生する理由は、様々な種類があります。「ダラダラ残業」「お付き合い残業」「生活残業」など、業務上不必要な残業については、上記(1)のようなメリットを享受できると思われますが、残業の中でも最も深刻なものは、業務量が多いため、所定時間内に業務が終わらない「過重労働型」です。
現在、非正規社員の増加により、正規社員に対する責任が大きくなる傾向があります。容量オーバーの仕事を抱え、残業せざるを得ない正規社員も多くなっております。そのような職場状況の中では、(1)の目的は効果が見込めません。むしろ現場の状況を把握せず、朝型勤務を導入することで、業務の混乱を招き、サービスの低下や社員の不満増加による退社などを引き起こしかねません。また、社員の負担が増え、結果として健康障害を発生させてしまう恐れもあります。
残業対策の導入全般について言えることですが、朝型勤務を導入する際、自社の残業タイプはどのようなものか検証し、「過重労働型」であれば、業務分担や手法を検討するなど根本的な見直しを行うことが必要です。
(大東 恵子/社会保険労務士)
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