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性犯罪の刑罰見直し、厳罰化は必要か?

JIJICO / 2014年9月26日 12時0分

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性犯罪の刑罰見直し、厳罰化は必要か?

性犯罪の刑罰見直しは抑止力の視点からだけでは不十分

就任早々の松島法相が、性犯罪の厳罰化を検討するよう事務方に指示したことを明らかにして以来、物議を醸しています。この問題について、私自身、法務省の心理技官として刑務所等で性犯罪者を含む犯罪者の心理判定やカウンセリングに従事し、また、その後、カウンセリング心理学の博士号取得のため留学した米国でも各地の刑事施設で実習した経験を基に検討してみます。

まず議論は、刑罰の厳罰化が犯罪の抑止力を持つかですが、これはすでに性犯罪を起こした者の再犯防止、並びに将来の性犯罪者の発生防止の観点からの議論であり、厳罰化の抑止力効果には賛否両論があるところです。しかし、このことは加害者側にのみ焦点を合わせた刑事政策的な議論(いわゆる一般予防・特別予防)といえるでしょう。

私は、性犯罪の量刑は抑止力の議論の視点だけでは不十分と考えます。つまり、将来の加害者に対する抑止力と共に、すでに被害者である者にどう対処するかの視点を取り入れない限り、真の社会正義の達成には至りません。

社会的弱者が中心の性犯罪の被害者を代弁する厳罰化は必要

性犯罪というのは、単に身体的だけではなく、心理的にも相手を支配する犯罪行為です。被害者に与える衝撃は外からは計り知れないくらい大きいものです。そのような重大な犯罪にもかかわらず、性犯罪、特に強姦(被害者は圧倒的に女性)において、大部分の事件は表に出ていない(警察に通報されない)とみなされていることに、被害者の強い葛藤がうかがわれます。

つまり、性犯罪、特に強姦の被害者は、まず被害の衝撃の他に「被害者自身にも犯罪を誘発した非があったのでは」との周囲の疑惑に耐えねばなりません。仮に意を決して警察に通報したとしても、今度は事情聴取や裁判等の刑事司法の過程の中で、事件の詳細の再現を求められます。言い換えれば、刑事司法の過程で二重・三重に心理的に「強姦される」ことがありうるのです。つまり、男性優位の司法の取り調べの過程で「強姦」の詳細を再び追体験させられてしまいます。

このように、性犯罪の被害者が、被害者として名乗り出ること自体、自分自身を再度傷つけるリスクを伴い、非常に勇気のいる行為なのです。そのような被害者に、法はきちんと報いない限り、真の社会正義はないといえ、その一つの方策として、厳罰化は必要だと考えます。

(村田 晃/心理学博士)

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