働く女性と生理~その負担軽減と生理休暇について~
JIJICO / 2017年12月13日 7時30分
働く女性と生理~その負担軽減と生理休暇について~
生理が女性の働き方に「大変さ」を感じさせている
生理用品ブランド「elis」が、「女性の働き方」に関するアンケートをおこなったところ、「女性として働くときに大変だと感じること」という問いに対し「生理があること」という答えが第2位(53.3%)だったそうです。
ご承知のように、「生理」は病気でありません。しかし、生理が原因で起こる体調不良はPMD(月経前症候群)やPMDD(月経前不快気分障がい)、月経困難症などと呼ばれ、(程度に個人差はあるものの)倦怠感や疲労感、集中力の欠如や腹部の痛みなどを引き起こします。そして、このような状態は1~2週間続き、それが毎月やってくるのですから、「生理があるのは大変だ」と感じるのは無理からぬことです。
生理休暇は法律で定められているが取得率は非常に低い
こうした女性の辛さを鑑みて、労働基準法には「生理休暇」についての規定が定められています。
労働基準法第六十八条(生理日の就業が著しく困難な女性に対する措置)
使用者は、生理日の就業が著しく困難な女性が休暇を請求したときは、その者を生理日に就業させてはならない
このように、生理休暇は法的に認められた立派な権利なのですが、「平成27年度雇用均等基本調査」(厚生労働省)によると取得率はわずか0.9%と、ほとんど利用されていません。
その理由としてまず挙げられるのは、「生理だと知られるのが恥ずかしい」「生理くらいで仕事を休める雰囲気ではない」といった「取得のしにくさ」です。
生理休暇の取得をしやすくするためには?
確かに、生理というのは非常に個人的かつデリケートな問題として捉えられており、たとえ女性同士であっても、職場でオープンに話せるものではありません。
また、「男にだって具合の悪いときがあるのに、なぜ女性ばかりに余分な休暇を与えるのだ」という不公平感や、不正取得の疑いを持たれることなどが、ハードルを上げているのでしょう。
こうした状況の中、生理休暇の取得率を上げ、「生理が大変だ」という働く女性の負担感を軽減するにはどうしたらよいのでしょうか。
まず考えられるのは、生理が心身に及ぼす影響への教育と啓発です。
生理に関する教育といえば、学校の保健体育等の時間に少し行われるだけで、その知識と理解は圧倒的に不足していると感じます。月経困難症をはじめとする生理に起因する症状や、それらが仕事に与える影響について、改めて啓発していくことが重要ではないでしょうか。
また、テレワークなど自宅での作業が可能な環境を整え通勤の負担をなくすことで、休暇を取らなくても仕事ができる場合もあります。生理中に限らず他の社員も利用できるような柔軟な制度であれば、介護離職などの防止にもなるでしょう。
不正取得を防ぐためには、生理休暇中は無給とする旨を就業規則に定めるなどの対策が効果的でしょう。場合によっては懲戒処分の対象になる可能性があることも、周知しておきましょう。
あるべき生理休暇をきちんと議論する時期に来ている?
「生理休暇」は、今とは比較にならないほど厳しい労働条件と就労環境が当たり前だった1947年に、女性の保護を目的として定められた規定です。そのため、それらが劇的に改善され、女性の社会進出が進んだ現代においてまで、この規定をそのまま適用するのは時代遅れだ、という声も聞こえてきます。
しかし、相変わらず家事・育児(時に介護まで)の主な担い手であり、更には「すべての女性が活躍する社会(内閣府)」などと銘打たれ、男性と同等の働き方を期待される現代女性は、当時とは違った意味で、厳しい環境に置かれています。
「健康経営」が注目される中、女性のみが持つ「妊娠・出産」という大切な機能を保護するための「生理休暇」がどうあるべきなのか、きちんと議論すべき時期に来ているのかもしれません。
(五井 淳子/社会保険労務士)
この記事に関連するニュース
-
部下から、繁忙期に「2日連続で有休をとりたい」と言われました。休まれると正直仕事が滞って残業が増えるのですが、断っても大丈夫でしょうか?
ファイナンシャルフィールド / 2024年4月17日 4時30分
-
寝る前に部下から「明日休みます」と一言だけLINEが届きました。事情があるのかもしれませんが、直前すぎて正直モヤモヤします…注意しても大丈夫でしょうか?
ファイナンシャルフィールド / 2024年4月16日 3時0分
-
もう、疲れました…年金月7万円・87歳“寝たきりの母”と暮らす、59歳“元大企業勤務”女性の悲痛な嘆き【FPの助言】
THE GOLD ONLINE(ゴールドオンライン) / 2024年3月30日 11時15分
-
【mederi for biz】低用量ピルを利用したPPIH社の女性従業員の約8割が「仕事のパフォーマンス向上」と回答
PR TIMES / 2024年3月29日 15時45分
-
介護と仕事の両立、96%が「難しい」 だが、「介護離職」すると「精神・肉体」追い込まれる...どうしたらいいか?専門家に聞いた
J-CASTニュース / 2024年3月27日 20時5分
ランキング
-
1ねんきん定期便の見込額に注意!年金から天引きされる4つのお金を知っておこう
オールアバウト / 2024年4月25日 21時20分
-
2お目当ては“ワケあり”商品……半額以下も! 購入客もナゼ? 安さの理由 物価高の家計助かる販売所へ『every.気になる!』
日テレNEWS NNN / 2024年4月25日 17時46分
-
3「乗り心地が良くなってしまうなんて……」日本唯一「カーレーター」の座席が“改善” 惜しむ声続々!?
乗りものニュース / 2024年4月25日 18時12分
-
4【SNSで話題】エアコン冷房「室外機に濡れタオル」で節電になるのか - ダイキンが検証結果を発表
マイナビニュース / 2024年4月25日 9時42分
-
5「いつまでも結婚できない40代男性」の勘違い…高年収でも女性から選ばれない“深刻な原因”
日刊SPA! / 2024年4月25日 11時11分
記事ミッション中・・・
記事にリアクションする
記事ミッション中・・・
記事にリアクションする
エラーが発生しました
ページを再読み込みして
ください