木村多江(52)が明かす「生きる意味がわからなくなった」過去。きっかけは父の死
女子SPA! / 2024年3月2日 8時45分
お互い愛してるからこそ起こり得る、あの過程と結末なんじゃないかなと思いました。そして、それはもう本当にリリーさんだから余計に上手くいったんだと思うんです。長く連れ添った夫婦みたいな空気感が出ていて、お互いにどこか深いところで繋がっているみたいな。そういう感覚みたいなものを大切にして演じました。
◆仕事への“原動力”とは
――俳優としてのキャリアは長いと思いますが、今現在、何を想いながら日々仕事をされているのでしょうか?
木村:そうですね。やっぱり役者というか人間は、自分の生存意義みたいなものをどこかで求めているところがある気がするんです。自分が生きてる価値というか。
だから、それがわたしの場合は役者であるので、芝居をすることで誰かの役に立っている、誰かの心を潤す、ちょっと誰かの背中を支えている、そんなにギュッと押してあげられなくても、ちょっと支えてあげられたり、そういうことにお役に立っていけることが少しでもあるのなら、自分が役者をやっている意味があるなと思うんです。
また、わたしの場合、役者だけじゃなくて、ナレーションだったり、バラエティなど、いろいろなこともやらせていただいていますが、そういう中でちょっとみんなが元気になったり、少しでもお役に立てればいいなと思っていることが、実はけっこうモチベーションになっているところはありますね。
◆父の死を乗り越えられなかった10年間。そして…
――いつからそのように考えるようになったのですか?
木村:30歳前半くらいの時、わたしは父の死を10年近く乗り越えられず、自分の生きている意味みたいなものが、どうしても分からなくなってしまっていたんです。そこを乗り越えるのに、いかにみなさんに支えていただいてきたか。だからわたしはこうして生きてこられたし、頑張ってなんとか仕事をしてこられたんだなと思ったら、やっぱりそこは恩返しをしていく、今度は反対の立場になっていきたいと思うんです。
あとは『ぐるりのこと。』という映画の時に、リリーさんが演じたカナオという人が、わたしが演じる翔子をずっと支えてくれていて、人に手を差し伸べられることは素敵だなと思ったんです。手を差し伸べるって、ちょっと上からのような感じになっちゃうけれど、誰かが手を繋ぎたい、助けてと言っている時に、それまではどうせ手を離されるんだったら掴まないほうがいいと思っていた。
誰かと仲良くなるにしても、この人もいつか手を離すかもしれないと不安になってしまい、だったら仲良くならないほうがいいって言って、すべてにバリアを張って生きてきたんですよね。
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