朝ドラ『虎に翼』は伊藤沙莉が“今っぽすぎる”?逆に効果的だと言える理由
女子SPA! / 2024年4月12日 8時46分
『虎に翼』©︎NHK
NHK朝の連続テレビ小説2024年前期作品である『虎に翼』(NHK総合、午前8時放送)を、かなり面白く見ている。
“日本初の女性弁護士”という宣伝文句以上に、主演の伊藤沙莉が、いい仕上がりの達者な演技でずっと楽しませてくれるからだ。
現に第1週平均視聴率は16.2%を記録。朝ドラ前3作の初週を上回る好スタートを切っている。
イケメン研究をライフワークとする“イケメン・サーチャー”こと、コラムニスト・加賀谷健が、伊藤沙莉にとっての“きらめきとひらめきの一作”である本作第1週を解説する。
◆ポジションを独占する伊藤沙莉
伊藤沙莉を好意的に捉えない意見を聞いたことがない。どんな役柄でもそつなくこなし、変に器用になることもなく彼女固有の爪痕を画面にちゃんと残す。気づけば、あらゆる作品のあらゆる画面上で伊藤沙莉だらけの状態。
出演作が連打され、映画、ドラマ問わず、“伊藤沙莉枠”としてポジションを独占している。志田未来と天海祐希共演で描いた恐怖の学園ドラマ『女王の教室』(日本テレビ、2005年)でのちょっとギャルっぽい嫌味な小学生役からすでに自分のポジションをつかんでいた。
深川麻衣扮する主人公の友人役で出演した映画『パンとバスと2度目のハツコイ』(2018年)も忘れがたい。
息子を横に座らせ、昼間っから瓶ビールをグラスに注ぐ手元がやけに強烈。一度そのポジションについたらば、もう離れない。かといって、しがみつくわけでもない。塩梅のいいスタイルが伊藤の演技を常に安定させているのだ。
◆きらめきとひらめきの一作
いや、必ずしも安定してるわけでもないか。彼女のほんとうの面白さは、不安定さにこそある。確かに演技のピッチは驚くほど安定している。でもあのざらざらした低音ボイスが演技の軸を微妙にズラして、方向性を定めないところがある。
そのズラしとハズしがうまい。彼女が声を発した瞬間、即興的なきらめきがあるのは、ジャズ的と形容すべき。綿密な演技プランがあるだろうから、かえってこの即興的グルーヴ感が無限の可能性となる。
そんなポテンシャルの持ち主である伊藤沙莉にとって、朝ドラ主演作『虎に翼』は、きらめきとひらめきの一作となるだろう。
夜空に散らばる星々のように伊藤が打ってきた出演作が結びついてひとつの星座となる。あの小さな見た目から広いスケールへ飛躍する天文学的な作品だと筆者は捉えている。
◆素朴な疑問形「はて」
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