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朝ドラ『虎に翼』への批判に反論。「政治的」「ビールを酔うほど飲む女性はいなかった」がトンチンカンな理由

女子SPA! / 2024年5月15日 15時46分

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(画像:『虎に翼』NHK公式サイトより)

 NHK連続テレビ小説『虎に翼』(NHK総合、午前8時放送)第4週第16回、伊藤沙莉扮する主人公・猪爪寅子が、しこたまビールを飲む場面があった。この描写が議論になっている。

 時代設定は、1935年に置かれている。つまり昭和10年代、女性が大っぴらにビールを飲むことがあったのか? と疑問を呈した、あるネット記事に対して、Xを中心に反論のポストが散見された。

 イケメン研究をライフワークとする“イケメン・サーチャー”こと、コラムニスト・加賀谷健が、本作で描かれた寅子の痛飲が意味するほんとうのところを考える。

◆あまりにトンチンカンな批判の意見

 平均視聴率が好調で、作品のクオリティもすこぶる快調な『虎に翼』だが、そんな作品にも批判の意見は常について回る。舌鋒鋭く、批評性に富んだものならば、むしろ批判的であっても作品の背骨を補強してくれるし、自由で豊かな眼差しの読解はあって然るべきだろう。

 だけどこれは目に余る。あんまりトンチンカンだから拍子抜けしてしまった。その記事の批判的意見(難癖?)を一言で要約するとこうだ。“本作が時代設定を置く昭和10年代(1935~1944年)、果たして女性は酒類(ビール)を飲んでいたのか?”

 随分とシケタ疑問じゃないだろうか。第4週第16回、1935年(昭和10年)、明律大学女子部を卒業した猪爪寅子(伊藤沙莉)を祝した酒宴の場面。笑顔でビールを飲んでいる寅子のヘベレケ姿を愉快に見ていた多くの視聴者をシラケさせたろうけど、それでもこの愚問を正そうとする誠実な識者がたくさんいた。

◆昭和10年代にビールを飲む女性

 まず映画評論家・町山智浩はX上で、原節子主演の『東京の女性』(1939年)を引き合いにだした。寅子が卒業した1935年に銀幕デビューした原の初期を代表する作品だが、原扮するタイピストの君塚節子は、戦前のモガ(モダンガール)として自動車のセールスマンになる。

 同作公開は昭和14年。原に先んじて1930年にデビューした山田五十鈴が、19歳で主演した『浪華の悲歌』(1936年)では煙草をスパスパ、畳の上に吐き捨てる描写がある。はっきり飲んでいるわけではないが、山田扮する主人公が過ごす愛人生活の背後には立派なウィスキーが置かれ、彼女はかなり痛飲していることが容易に想像できる。

 溝口健二の映画では、男性より女性のほうがよっぽど酒類が似合う。同じ溝口監督作で同年公開の『祇園の姉妹』では、芸妓に扮した山田が朝は瓶の牛乳をぐびぐび、夜はちょっとだまくらかしてやろうと、手慣れた手つきで進藤英太郎に瓶ビールを傾ける。

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