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『セクシー田中さん』芦原妃名子さんの漫画が、多くの人から愛され続ける理由

女子SPA! / 2024年6月4日 18時0分

◆3:共感せずにいられない、心に沁みる台詞たち

芦原先生の作品を読んでいると、乾いた心が潤っていく。それは、共感せずにはいられない、繊細な心理描写によってもたらされるものだと思います。

 “なんで 皆 自分には 大した価値がないって すぐに 思っちゃうんだろう”

 “友達 便利な言葉だな”

 “「キレイだね」って 言われるよりも 「かわいい」って 頭をなでられたい 好きな人にだけは”

年齢や性別、生き方や考え方は違っても、登場人物たちが語る心情に、自分自身の心や経験のなかにある想いを重ねずにはいられないのです。「その気持ち、分かる」と共感することで、過去もしくは今の自分を肯定してもらえたような気持ちになりませんか? そんな共感と肯定はとても優しく、まるで包み込まれるような読後感に、疲れた心が癒されるのです。

◆曲がってしまう背筋を、何度でも伸ばそうと思える

一方で、ハッとさせられる、背中を押してくれる台詞も数多くあります。

 “胸を張ろうと 決めたんだ 誰に何を 言われても 何度も 背筋を伸ばす”

 “若い人に 3倍努力すれば 追いつける 10倍努力 すれば 追い越せる

  私のこれからの 人生の中で 今が一番 若いんだから”

 “あなたは 今 あなた自身と 向き合って できることを やればいい”

私は漫画の技術的なことには明るくありませんが、セリフの一文字一文字も、構図やコマ割りも、伝えたいメッセージが読者の心に届くように計算されているのではないでしょうか。物語を介して、登場人物が、芦原先生が、自分に寄り添ってくれている気がするのです。この作品を読んで、曲がってしまう背筋を、何度でも伸ばそうと思った読者はきっと多いと思います。

◆改めて読み返したい、芦原先生の珠玉の作品

愛おしいキャラクターたちがリアリティをもって物語のなかで生きている。心に響くセリフが散りばめられた珠玉の物語は、『セクシー田中さん』だけではありません。

●四季を重ねながら綴られる初恋『砂時計』

両親の離婚をきっかけに母親の実家・島根に越してくる主人公の杏(あん)。そこで出会った幼なじみ・大悟(だいご)との物語である『砂時計』(小学館刊)は、映画・ドラマ化された大ヒット作品です。

年齢と四季の移ろいを重ねながら描かれる恋模様は、美しくも切ない。一見すると気が強く明るい杏ですが、12歳で母親を自死で亡くしており、どこか不安定。そんな弱さを抱えながら、周囲の人たちと共に前へ前へと進もうとする杏の姿には、胸が熱くなります。自分の指針が揺らぎそうなとき。自分に自信をなくしたとき。何度もこの作品に救われました。

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