低視聴率『おむすび』はNHK前会長の“若者ねらい路線”の象徴…「定番シーンの省略」で朝ドラ愛好層もガックリ
女子SPA! / 2024年11月14日 8時46分
また、家族を詳しく描くことにより、ホームドラマの色合いが強くなって、やはり視聴者を惹きつけやすくなる。ホームドラマは今も昔も国内外で人気。家族の関係自体が1つのドラマだからである。
さらに、子役編の有無を問わず、序盤の主人公は例外なく若い。人間的に未成熟。主人公中心で物語を進めようとすると、どうしても話が拙(つたな)くなる。それを補うのが家族の存在なのだ。それも家族の描写が薄いと難しくなる。さらに、家族を細かく描くと、主人公の将来の人物像もある程度、浮かび上がるのだ。
◆『ブギウギ』『虎に翼』での家族描写
近作はどうだったのか。『ブギウギ』の主人公・福来スズ子(趣里)は第20回の時点で、自分が香川県の名士で既に亡くなった治郎丸菊三郎の娘だと教えられる。第21回で実母が次郎丸家の元女中・西野キヌ(中越典子)だということも知った。20歳のときだった。
スズ子は強いショックを受けるが、お調子者の父親・花田梅吉(柳葉敏郎)ときっぷのいい母親・ツヤ(水川あさみ)には話さず、2人への慈しみと感謝を強める。この作品の序盤はスズ子が12歳で入団した梅丸少女劇団(USK)と家族のことしか描かれていないと言っても過言ではない。
『虎に翼』は主人公・猪爪寅子(伊藤 沙莉)が第1回、第2回で不満げにお見合いに臨み、それを叱る母親・はる(石田ゆり子)の保守性と厳しさが浮かび上がった。逆に庇(かば)った父親・直言(岡部たかし)のやさしさや寛容性が浮かび上がった。
第4回ではるは法律家を志した寅子に対し、自分が女学校へ行かせてもらえなかったこと、家業に役立つ政略結婚をさせられそうになったことを明かす。ここで作品側ははるの生育歴を自然な形で視聴者側に伝えたのである。はるは寅子の法律家志望に猛反対していた。
しかし、第5回で東京地裁判事・桂場等一郎(松山ケンイチ)が寅子の法律家志望を侮辱すると、はるは憤怒。寅子が法律家を目指すことを許す。この時点で寅子の負けず嫌いがはるから受け継がれたことが分かった。
直言の気性と生育歴は第20回からの「共和事件」のエピソードに織り交ぜられていた。エリート銀行員だが、優柔不断。けれど、誰にでも親切。この作品の序盤もほとんどが家族と明律大学女子法科、明律大学法学部の描写に費やされた。
◆『おむすび』母の生育歴が不明で分からないことが多い
『おむすび』はどうかというと、家族に不明点がまだ多い。たとえば、米田結の母親・愛子(麻生久美子)の気性と生育歴である。
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