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「このまま“みっちょん”でいいのか」芳本美代子が悩んだアイドル時代、挑戦も失敗も衰えも受け入れて

週刊女性PRIME / 2024年3月16日 16時0分

30歳はソバージュヘアがトレードマークだった

 芸能生活40周年を迎える芳本美代子さん。16歳で歌手としてデビューしてから、俳優、演出家としても活躍。かつては「現場から逃げたい」「無理!」と涙した日も多かったという。それでも、どんな状況下でも何か発見がある、成長できる、楽しまなきゃ損―そう気がついてから「みっちょん」はどんどん進化していった。

アイドル歌手としては行き詰まっていた

「本当に私でいいの?」と、大学教授のオファーを受けた際に感じたという芳本さんは、1年間の授業を終え、この春には新入生を迎える。教えているのは「身体表現」

 表情や身体の動きで感情を表すというのがテーマだが、今どきの学生たちにある引っかかりを覚えたという。

コロナ禍でマスク生活だったり、ソーシャルディスタンスもあったからでしょうが、表情が乏しかったり、ボディランゲージが取れない子が多いんですね。自分を表現できなくて、内にこもるからメンタルも弱い。これは私の教えている学生だけでなく、もっと下の子どもたちにもいえることで、とっても大きな社会問題だと思うんですよね

 元気で明るくて、ちょっとひょうきんな“みっちょん”のイメージが強い芳本さん。しかし、そこで目にしたのは芸能界で積んだキャリアを活かし、生徒に真摯に向き合う教授としての姿だった。

この学校で10代の終わりから20歳になって、社会に出たときに、ここで学んだことを思い出して、自分を主張できるようになってほしいと思って教壇に立っています

 故郷の山口県から歌手を目指して上京したのは15歳のとき。翌年にはアイドルデビューを果たす。同期に南野陽子、森口博子、中山美穂、故・本田美奈子.さんなど錚々たる顔ぶれが。でもアイドル時代は長くは続かなかった。

「20歳前後はすごく悩んだ。歌がめちゃくちゃ売れたわけでも、超個性的でもないし。“みっちょん”の認知度は高かったけれど、アイドル歌手としては、行き詰まっていた。このままみっちょんでいいのかな?って。同じころに学生時代の友達が社会人になったり、専門学校に進んだりして変わっていくのに、私はどうしたらいいのかわからなくて、それで、グレるという行動に。周りのアドバイスにもわざと、歯向かったりして

 明るいイメージのみっちょん、でも自分は悩みを抱えているのに……。そのギャップに苦しんだのだ。

世間とのギャップでメンタルが荒れていた

ミュージカル『阿国』の出演が決まったんだけれどって言われて、“未経験で舞台に立つなんて無理。できないに決まってるじゃない!”って。マネージャーに、それこそ引っ張られるようにして稽古に入ったの

 反抗的になったり内向的になったりと、メンタルは荒れていたが、周囲は温かく迎え入れてくれた。

木の実ナナさんや鷲尾真知子さんといった大先輩も、スタッフさんも、“みっちょんは明るい子だ”っていうふうに見てくれていて、みんなすごくお優しい……、グレているのが無駄でした(笑)

 その舞台の共演者に、今日まで長いお付き合いが続くことになる敬愛する池畑慎之介/ピーターさんがいた。

「『阿国』では若い踊り子役で、ピーターさんに恋をするの。その後も親子だったり、姉だったりいろんな役で共演させていただいて。プライベートでも男とか女とか関係なく、話ができるんです。大先輩だけれど偉ぶることもなくて、いつも対等にお付き合いしてくださる。私もピーターさんのようにありたいってずっと思ってきました

 令和の社会は、パワハラ、モラハラ意識が強くなり、コミュニケーションの取り方も変わりつつある。昭和の芸能界を知っている芳本さんは、どう感じているのだろうか。

そりゃあもう、語弊を恐れずに言うなら当時は『なんでもあり』。自分の主張は譲らないから、大御所同士が罵り合いながら大ゲンカしているのを何度も見たしね。“こんなこと言っちゃいけないのかな”ではなくて自分の信念を貫くパワーがあった。それで舞台やカメラの前に立つと、ものすごい存在感で演技をする。そういう本気の姿から学ぶこともたくさんあって、そこがなくなってしまったのはちょっと残念ですね

 面と向かって真っ向から言い合う時代だったから、負けじと自分のメンタルも強くなったのかもしれない。昭和の芸能界で、個性的な役者さんとたくさん共演できたことは財産になっているという。

俳優、演出家として作品に携わる機会を頂いて、多面的にものを見られるようにもなってきた。とにかく目の前のことに精いっぱい取り組んで、自分が楽しめなくちゃ─その思いでやってきました。大学の教員になったのも、その時々で積み重ねてきた結果だと思ってるんです。だからこのポジションも通過点かもしれませんね

 50代になり、身体の変化も含めて衰えを実感し、更年期も経験済みだと笑う。

40代の半ばに更年期が始まりました。どこもかしこも具合が悪くなって。でもちょうどその頃、ある作品の演出をしてみないかと言うお誘いがあって、そっちにものすごく集中していたから、あまり落ち込まずに済みました

 しかし、コロナ禍になった最初の頃、仕事や舞台が次々と中止になり精神的に不安定になった。

コロナ禍でうつっぽい状態に

結構落ち込んで、うつっぽくなってしまって。心配してくれる周囲の言葉もまったく耳に入ってこなかった。でも、ある人に“勝手に心配してるんだけど、大丈夫なの?”と言われた時、一歩踏み出せたというか、みんなに支えられているんだなって実感できて。このままじゃだめだと思えたんです

 “ここまで落ちたんだからあとは上がるだけ。もう考えるのをやめよう”というスイッチが入ったのだと語る。そして弱い自分も、失敗も受け入れられるようになった今が、いちばん“みっちょん”を楽しめていると芳本さん。

年齢を重ねるといろいろ経験するから、楽しいことって減っていくじゃないですか。『そんなことやる年齢でもないし~』とおっくうになってくる。だけど、自分がやっていることをやめないでいると、不思議と新しいことが始まるんですよ。ステップアップとか成長し続けるとかハードル高いことは無理にしなくていいし、頑張って走り続けなくていいと思っているので、何歳になっても楽しいことをやり続けたいです

取材・文/水口陽子

1969年生まれ、山口県出身。16歳のときに『白いバスケット・シューズ』でアイドル歌手デビュー。21歳で初舞台を踏んだミュージカル『阿国』でゴールデン・アロー賞演劇新人賞を受賞し、以来役者としてテレビや舞台で活躍。舞台演出なども手がけ、2023年春より大阪芸術大学短期大学部メディア・芸術学科舞台芸術コース教授に就任。YouTube「みっちょんINポッシブル」も好評。

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