黒岩知事、給料減額提案へ 中井やまゆり園虐待問題 副知事2人も自主返納

黒岩祐治知事（資料写真）

　神奈川県立知的障害者施設「中井やまゆり園」（中井町）で利用者への虐待事案が相次いで発覚した問題を受け、黒岩祐治知事は12日の定例会見で、自身の給料（月額145万円）を減額10分の3（1カ月）とする条例改正案を開会中の県議会に提案すると明らかにした。

　黒岩知事は「県政を統括する者として、障害福祉行政に対する信用失墜を招いたことに責任を痛感している」とし、「利用者や家族の皆さんに心からおわびする。職員一丸で進めている園の改革を確実なものとし、当事者目線の障害福祉が実現できるよう全力で取り組む」と述べた。

　県政の不祥事に絡み、知事が給料減額を提案するのは、全庁的な不正経理問題の発覚に伴う2010年の松沢成文知事以来。障害福祉に関わる不祥事では、横浜市内の県立知的障害者施設で職員が「いたずら心」から利用者の体毛をそった事案の発覚を受けた00年の岡崎洋知事以来となる。

　中井やまゆり園を所管する福祉子どもみらい局担当の首藤健治副知事と、同局の前身である保健福祉局長に就いていた武井政二副知事が給料を自主返納する。返納は首藤氏が10分の2（1カ月）、武井氏は10分の1（1カ月）とする。

　同園を巡っては、15年度以降に行われた職員による利用者への9件の不適切な対応が虐待認定された。顔を平手打ちしたり、居室の天井が便まみれの環境で生活させたりした事案などが含まれる。県は5月、関係した園職員のほか、実態を看過した本庁の幹部職員ら計23人を懲戒処分や訓戒、厳重注意としていた。