20年前の国民的アイドル「タマちゃん」 10万枚から厳選した写真集を「見守る会」が出版へ
カナロコ by 神奈川新聞 / 2024年5月5日 0時55分
2002年に多摩川に突如現れ、一時は国民的アイドルとなった野生のアゴヒゲアザラシ「タマちゃん」。横浜市内の河川などで観察を続けてきた市民団体「タマちゃんを見守る会」が発足から22年目を迎え、これまでの活動を伝える写真集を出版する運びとなった。姿を消してからは環境啓発活動や全国の沿岸にやって来るアザラシの調査などを続けているメンバーは「野生のアザラシがいつでも大海に戻れる環境をみんなで保ちたい」と願っている。
タマちゃんは02年8月に多摩川に現れてから鶴見川、大岡川、帷子(かたびら)川や東京湾内を転々とした。その愛くるしい姿に魅了された人たちが河川敷で顔を合わすうちに親しくなり、同年11月に見守る会を結成。埼玉県内の荒川で最後に確認された04年4月まで、1年8カ月に及ぶ成長の様子を撮影するとともに、克明に観察・記録してきた。
全国の沿岸では“タマちゃん後”もアザラシが相次いで漂着しており、タマちゃんから得た知見を生かし、メンバーは各地で観察や調査を重ねた。ゴマフアザラシ「カモちゃん」(04~05年、千葉県鴨川市)がサーファーに興味を示すなど人なつっこい様子を確認。同「オダちゃん」(13年、小田原市)は犬と仲良く泳ぐ珍しい姿を撮影した。
写真集「思い出のタマちゃんと仲間たち」は、これまでにメンバーが撮りだめた10万枚以上の写真から発起人4人が未発表で表情豊かなものを中心に約200枚を選んで収めた。顧問役を務めている元江ノ島水族館館長の廣崎芳次さんのアザラシに関する論文も掲載している。
2代目会長の相澤亮治さん(83)は「海や川の状況を見る機会がなかったが、タマちゃんが来たことで地元の川の環境を知るようになった」と振り返る。タマちゃんを知らない市民が増える中、「水質に関心を持ち、川をきれいにしようという意識を持ってもらえれば」と話している。
写真集は1500円。問い合わせは、同会広報の藤田智明さん電話090(1437)6748。
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