日産「ラシーン」は出るのが早すぎた!? 絶版になって人気が出たSUVを振り返る
くるまのニュース / 2020年7月21日 14時10分
現在、人気が高いジャンルのクルマといえばSUVで、次々と新型車が登場しています。日本ではかつて「RVブーム」があり、そのブームに乗るためにRV風なモデルが発売されました。そのなかの1台が日産「ラシーン」で、絶版になってから人気が再燃したユニークなモデルです。そこで、ラシーンを振り返ってみます。
■ユニークなデザインのコンパクトRVが登場
近年、世界的に人気が高まっているクルマといえばSUVです。なかでも、本格的なオフロード4WDではなく、都会的なクロスオーバーSUVの人気が高く、国内外のメーカーから続々と新型モデルがデビューしています。
いまのSUV人気は、ブームとはいえるほどではありませんが、1990年代の初頭に起こった「RVブーム(レクリエーショナル・ビークル)」の頃は、三菱「パジェロ」や日産「テラノ」、トヨタ「ハイラックスサーフ」といった、本格的なクロスカントリー4WD車が爆発的にヒットしました。
各メーカーがクロスカントリー4WD車を販売していただけでなく、普通の乗用車をRV風にドレスアップしたモデルや、見た目はRVでも悪路走破性能が高くない、見た目重視なモデルも登場しました。
そうしたRV風なモデルのなかの1台が、1994年に発売された日産「ラシーン」です。このユニークなモデルを振り返ってみます。
※ ※ ※
ラシーンは1993年の東京モーターショーに、コンセプトカーとして出展されました。ボクシーで背の低いデザインは来場者から好評を博し、翌1994年に市販モデルを発売。つまり、東京モーターショーに出展していた時点で、販売の予定があったことになります。
ラシーンという車名は「羅針盤」に由来する造語で、ラシーンの発売と同時に日産は自動車業界として初のホームページを立ち上げ、日産「羅針盤」と名付けました。
プラットフォームや主要なコンポーネントは、当時販売していたコンパクトセダンの7代目「サニー」から流用。
ボディはステーションワゴンをショートにしたイメージで、フロントにグリルガードが配置され、ルーフレールや、テールゲートには背面スペアタイヤを装着するなど、見た目は完全にRVのイメージです。
当時は、乗用車とSUVを融合した「クロスオーバーSUV」というジャンルは存在していませんでしたが、まさにラシーンはクロスオーバーSUVの先駆け的存在です。
ボディサイズは全長4115mm×全幅1695mm×全高1515mmと、現在の水準からするとかなりコンパクトで、見切りの良いボディ形状も相まって、取り回しは良好だったといいます。
搭載されたエンジンは、発売当初は全グレードで1.5リッター直列4気筒のみで、トランスミッションは5速MTと4速ATを設定。駆動方式はすべてフルタイム4WDとなっており、これは現在のSUVが2WDをラインナップしているのに対し、よりRVに近いというコンセプトだったためです。
最高出力は105馬力と決して高出力ではなく、車重は1200kg前後と、このクラスでは重く、後述しますが排気量アップが図られました。
※ ※ ※
ラシーンはCMやカタログのキャラクターに「ドラえもん」を起用したことが話題となり、ユニークなデザインのボディも好評でヒットします。
そして、さらなるブラッシュアップがおこなわれました。
■販売終了後に再評価されて人気となった!?
ラシーンが最初に大きく改良されたのは1997年のマイナーチェンジで、1.5リッターエンジンに加え1.8リッター直列4気筒エンジン「SR18DE型」が追加されました。
最高出力は125馬力にアップしたことで、走りにも余裕ができ、同時に1.8リッターにはセンターデフにビスカスカップリングを組み合わせた「アテーサ4WD」を採用。前輪と後輪のトルク配分を自動的に修正し駆動力の向上と安定した走行を実現しています。
手頃な大きさと価格、優れたデザインでいまも人気の「ラシーン」
また、この改良でフロントグリルの意匠を一新し、よりRVらしいフロントフェイスとなっており、ラインアップは5グレードとなりました。
さらに、1998年には高性能な2リッター直列4気筒の「SR20DE型」エンジンを搭載した「ラシーンフォルザ」が登場。最高出力145馬力を誇り、トランスミッションは4速ATのみで、駆動方式はアテーサ4WDです。
ラシーンフォルザはボディにも手が入れられ、フロントフェイスは専用バンパーと専用グリル、丸目4灯のヘッドライトを装着して、雰囲気はスタンダードモデルと大きく変わっています。全幅もフェンダーアーチが大型化されたため、シリーズ初の3ナンバー車になりました。
その後はとくに変更はなく、2000年に生産を終了。フルモデルチェンジすることなく、また後継車もなかったため、ラシーンは一代限りで消滅していました。
ラシーンは大ヒットこそしていませんでしたが、平均すると年間1万台以上を販売しており、後継車があってもおかしくないのですが、ちょうど日産がルノー傘下になった頃だったため、車種整理の影響があったのかもしれません。
※ ※ ※
こうして販売を終了したラシーンですが、数年ほど前から中古車の人気が上昇しました。
SUV人気の高まりという要因があり、サイズ感も手頃で、ボクシーなデザインが再評価されたためで、カスタマイズされたラシーンのカッコよさも話題となりました。
また、テレビドラマなどにも起用されたことも、ラシーンの人気再燃にひと役買ったと考えられます。
しかし、販売終了からすでに20年経っているため、消耗品を除くとパーツの入手が困難になっているので、いまから中古車を手に入れるには、十分な検討をおこなってください。
なお、いまではラシーンを専門に扱う中古車店や、カスタマイズをおこなっているショップもあるので、ラシーンについてのノウハウのあるショップに相談するのがよいでしょう。
いずれにしても、ラシーンの登場は早すぎたのかもしれません。
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