VW新型コンパクトSUV「Tロック」 さっそく日本の道で走ってみた
くるまのニュース / 2020年7月19日 19時10分
2020年7月15日に日本上陸を果たしたばかりのフォルクスワーゲンのコンパクトSUV「T-Roc(Tロック)」。クーペSUV風のエクステリアデザインと、VWのSUVとしては初採用となる2トーンカラーで、スタイリッシュさばかりが目についてしまうが、実際に日本の道で乗ってみてどうなのか。
■「Tクロス」と「ティグアン」の間の大きさとなるコンパクトSUV
SUV攻勢を加速させるフォルクスワーゲン(VW)が、昨年の「T-Cross(Tクロス)」に続いて送り込んだニューモデルが「T-Roc(Tロック)」だ。
欧州ではすでに2017年に発売されていて、このほど晴れて日本に導入される運びとなった。
全長4240mm×全幅1825mm×全高1590mmというスリーサイズは、Tクロスよりも125mm長く、65mm幅広い。またティグアンよりも260mm短く、15mm狭いという立ち位置になる。
TクロスやティグアンがオーソドックスなSUVのスタイリングであるのに対し、Tロックはテールゲートがなだらかに傾斜したSUVクーペのシルエットをまとうのが特徴となっている。
そのクーペ的なルーフラインを強調するかのように配されたクロームのトリムをはじめ、ベントレー「ベンテイガ」のようなボディサイドのキャラクターラインや、その延長上の鋭く尖がったテールゲートの水平なラインも目を引く。
また全9色の多彩なボディカラーは、VWのSUVとして初めて2トーン仕様が選べるのも特徴で、ブラックまたはホワイトのルーフカラーを組み合わせることが可能となる。
インテリアも、ボディカラーとのコーディネートを図れる大面積のトリムなどにより、スポーティさとポップさを兼ね備えた雰囲気となっている。水平基調のインパネには、最新のデジタルメータークラスター「アクティブ・インフォ・ディスプレイ」や、表面を大型ガラスパネルで覆ったタブレット感覚のインフォテイメントシステム「ディスカバー・プロ」などが全車標準装備される。
クーペフォルムながら、後席の居住空間も必要十分で、通常時の荷室容量は445リッター、シートバックをすべて倒せば最大1290リッターと、ライバルSUVに対して遜色ない広さを確保しており、実用性も申し分ない。
輸入車コンパクトSUVでは、同じく新しくなったばかりのプジョー「2008」やルノー「キャプチャー」などのフランス勢が直接的なライバルとなるほか、同門のアウディ「Q2」や、やや大柄ながらメルセデス・ベンツ「GLA」、BMW「X2」あたりの独プレミアム勢も競合してきそうだ。
欧州ではガソリン4種類、ディーゼル2種類という計6種類ものパワートレインが用意されているが、日本向けはひとまず最高出力150ps・最大トルク340Nmを発生する2リッター直列4気筒ディーゼルで前輪駆動の「2.0TDI」のみとされた。
グレードは、「TDIスタイル」(車両価格384万9000円。消費税込、以下同)、「TDIスタイル デザインパッケージ」(405万9000円)、「TDIスポーツ」(同419万9000円)、「TDI R-Line」(同453万9000円)という4グレードでの展開となる。
■2リッターディーゼルターボはトルクフルで頼もしい
試乗したのは、内外装に数々の専用装備が与えられた、Tロックの魅力をもっとも感じさせるであろうR-Lineとなる。
ドライブしてまず感じるのは、VWのSUVらしいまとまりの良さだ。
VW「T-Roc」の走り
すでに定評のある「MQB」プラットフォームも効いてか、ドライブフィールは極めて快適で軽快かつ扱いやすく、なんら気になるところはない。
全幅は1800mmをやや超えるものの、前輪の切れ角が十分に確保されているので取り回しは良好だった。このサイズで、最小回転半径が5.0mちょうどというのも恐れ入る思いだ。
最新のTDIエンジンは低速から力強く、それを歯切れのよいシフトチェンジを提供する7速DSG(DCT)が効率よく路面に伝えてくれる。トルクフルな走りはロングドライブでは、なおのこと頼もしく感じられることだろう。ディーゼルとしては音や振動も比較的小さく抑えられているのも好印象だった。
R-Lineのみに標準装備される電子制御ダンパーを備えたアダプティブ シャシー コントロール(DCD)による足まわりの仕上がりも上々だ。
スポーティな走り味から快適性重視まで任意にモード選択することができるが、ひとまずAUTOにセットしておけばどこでも事足りる。
SUVとしては重心高がそれほど高くないこともあり、ロールなどの姿勢変化を抑えるために無理をしなくて済んだような印象で、適度にダンピングが効いていながらも微小ストローク域がしなやかに動くので、19インチで40偏平のタイヤを履いているとは思えないほど乗り心地は快適だった。
また、VW車がおしなべて持つ美点である、操舵に対して正確に応答し、しっかりとした手応えのあるステアリングフィールももちろん身につけている。リアの追従性も高く、走りに一体感があり操縦安定性にも優れている。
先進安全装備についても基本的な機能はもちろん、ステアリングを制御するレーンキープアシストや、二次被害を防止するVWならではの技術であるポストコリジョンブレーキシステムを採用するなど、上級機種に匹敵するほど充実しているのも特徴だ。
スタイリッシュで実用性も高く、そつのない仕上がりで価格やキャラ的にもとっつきやすいTロックは、ますまず増殖するコンパクトクロスオーバーSUVの中でもベンチマークといえる1台になることだろう。
VW「T-Roc」の走り
* * *
Volkswagen T-Roc R-Line
・車両本体価格(消費税込):453万9000円
・全長:4250mm
・全幅:1825mm
・全高:1590mm
・ホイールベース:2590mm
・車両重量:1430kg
・エンジン形式:直列4気筒ディーゼルターボ
・排気量:1968cc
・駆動方式:FF
・変速機:7速DSG(DCT)
・最高出力:150ps/3500-4000rpm
・最大トルク:340Nm/1750-3000rpm
・燃費(WLTC):18.6km/L
・サスペンション前/後:ストラット/トレーリングアーム
・ブレーキ前/後:Vディスク/ディスク
・タイヤ:225/40R19
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