1年中装着可能な「オールシーズンタイヤ」は万能タイヤ!? スタッドレスとの違いとは?

くるまのニュース / 2020年8月1日 11時50分

昨シーズンあたりから国産タイヤメーカーも続々と参入し、いまではタイヤショップやカー用品店では常時店頭に並んでいるようになったのが「オールシーズンタイヤ」だ。その名のとおり春夏秋のドライ・ウエット路面、そして冬のスノー路面と、四季をとおして装着できるタイヤだが、どんな特徴があるのだろうか。あらためて紹介してみたい。

■「冬用タイヤ」に分類されるオールシーズンタイヤ

 近頃オールシーズンタイヤが好調だ。

 数年前まで、オールシーズンタイヤは日本ではグッドイヤーの「ベクター・フォーシーズンズ」くらいしか販売されていなかったのだが、2シーズン前にはミシュランやファルケンが参入、昨シーズンにはダンロップやヨコハマ、TOYO TIREの国産メーカーも相次いで展開した。

 日本で冬用タイヤといえば「スタッドレスタイヤ」が有名だが、冬用として存在するタイヤはほかにもある。オールシーズンタイヤも冬用タイヤのひとつ。だから高速道路で冬用タイヤ規制になっても、スタッドレスタイヤ同様そのまま通行することが可能だ。

 同じ冬用タイヤだが、スタッドレスタイヤとオールシーズンタイヤには違いがある。

 スタッドレスタイヤは、凍った道や雪道など、いわゆる冬の道すべてに対応するタイヤになる。スパイクタイヤに対し、「スタッド(スパイクピン)」が「レス(ない)」なので、スタッドレスと呼ばれている。

 スタッドレスタイヤのトレッド面を見てみると、細かい溝(サイプ)が刻まれているのがわかる。このサイプのエッジ効果で氷や雪を咬み、冬道でのグリップ力を生んでいる。また柔らかなトレッドゴムを用いることで路面に密着させ、路面とタイヤとの間に生じる水膜を除去、スリップを防ぐ。

 トレッドゴムが柔らかいため、以前は高速走行の際にハンドル操作の手応えが薄かったり、ドライ路面を走行中にタイヤから発生する騒音が大きかったりと、ネガティブな要素もあったのだが、最新のスタッドレスタイヤでは、ドライ路面での走行安定性や静粛性、さらに耐摩耗性能の向上など、各タイヤメーカーの技術を存分に注ぎ、ドライ路面を走行してもサマータイヤとの違いがわかりづらい商品も多く存在する。

 ただし、季節の変わり目にはサマータイヤからスタッドレスタイヤ、そしてスタッドレスタイヤからサマータイヤへと、年2回交換することを前提とする。

 対してオールシーズンタイヤは、その名のとおり「オールシーズン(全ての季節)」で使用できるタイヤ、ということになる。スタッドレスタイヤでは春と秋の2回、タイヤ交換をしなければならないが、オールシーズンタイヤはその履き換えの必要がない。

 つまり、外したタイヤの保管場所に困らないというメリットがある。オールシーズンタイヤは春夏秋冬、雨の日や晴れの日、そして雪の日までカバーする。

 オールシーズンタイヤの歴史は意外に古く、1977年にグッドイヤーが世界初となるオールシーズンラジアルタイヤ「Tiempo(ティエンポ)」を北米で発売したのが最初といわれている。日本では2008年からグッドイヤーが「ベクター フォーシーズンズ」を発売。以来、年々知名度が上がってきていて、今ではドライバーの3人に1人がオールシーズンタイヤという存在を知っているという。

■国産タイヤメーカーが続々とオールシーズンタイヤを日本で展開する理由とは?

 オールシーズンタイヤは、数年前まではグッドイヤーの乗用車用「ベクターフォーシーズンズ」やSUV用「アシュアランスウェザーレディ」ミシュラン「クロスクライメート」など、いわゆる海外タイヤブランドしか日本で展開していなかった。

 昨シーズンよりダンロップ(住友ゴム)「オールシーズンMAXX AS1」やTOYO TIREのSUV用「セルシアス」、そしてヨコハマ「ブルーアース4S AW21」が登場し、注目が集まってきた。つまり業界最大手のブリヂストン以外、主だった国産タイヤメーカーは現在オールシーズンタイヤをラインナップしている。

冬のスノー路面も難なく走行することができるのがオールシーズンタイヤの特徴だ。写真はTOYO TIREのオールシーズンタイヤ「セルシアス」冬のスノー路面も難なく走行することができるのがオールシーズンタイヤの特徴だ。写真はTOYO TIREのオールシーズンタイヤ「セルシアス」

 なぜ、ここにきて国産タイヤメーカーがオールシーズンタイヤを国内で販売するようになったのだろうか。

 ひとつには、都会に住むユーザーからの要望がある。非降雪地域のマンションに住むユーザーの場合、履きかえたタイヤの置き場に困る人も多い。そうした利便性から、オールシーズンタイヤに対するニーズが年々増えているのだ。

 さらに道路インフラが整ったこともあり、非降雪地域の高速道路は真冬でもドライ路面のことが多いのも、ニーズに拍車をかけている理由だろう。

 じつは日本の道路事情は世界から見ても特殊な環境のため、国産タイヤメーカーがオールシーズンタイヤの国内導入をいままで躊躇してきたという側面もある。

 オールシーズンタイヤは現在、ヨーロッパを中心に販売されているが、欧州のリプレイスタイヤ(履き換え用タイヤ)市場では、すでに10%を超える占有率になっている。また年々、その販売本数が増えているという。

 日本のタイヤメーカーも、もちろんヨーロッパでは展開しているため、日本でオールシーズンタイヤを展開するにあたり、ゼロから企画/開発をスタートする必要はなかったのだ。

 現在は、まだサイズバリエーションも限られているオールシーズンタイヤだが、ヨーロッパ市場では各社が多くのサイズを保有している。同様の理由で、今後日本市場においてサイズ拡充することも難しいことではないのだ。

※ ※ ※

 では、四季をとおして装着することができるオールシーズンタイヤは、いわゆる「万能タイヤ」なのだろうか。

 たしかにドライやウエット路面では、サマータイヤと変わらない性能を持ち、スノー路面でもスタッドレスタイヤと遜色ない走行性能を持つが、苦手とする路面がある。それがアイス路面だ。

 北海道や東北という降雪地域の大都市には、交差点や日陰にアイスバーンと呼ばれる氷の路面ができてしまう。このアイス路面で安全確実に、短い制動距離で止まることを第一の目的として、長年進化し続けてきたのがスタッドレスタイヤになる。

 交差点がアイスバーンになっているような場所に住む、降雪地域に住むユーザーは、冬季はスタッドレスタイヤを装着しないと安心して運転することはできない。

 また都会でも、一度雪が降ると、何日も除雪されずにアイスバーンになっている道が各地にあるため、自分の住む近所にそういう道があるユーザー、とくに坂の多い地域に住んでいる場合は、スタッドレスタイヤを選ぶほうが賢明だ。

 ではオールシーズンタイヤは都会派向けのタイヤなのかといえばそういうことでもなく、降雪地域に住むユーザーはサマータイヤの代わりにオールシーズンタイヤを装着する、という使い方が考えられる。そうしたことで、春先、タイヤを履き替え後に突然降る雪に対しても安全に走行できる。

 スタッドレスタイヤもオールシーズンタイヤも、けっして万能タイヤというわけではなく、それぞれにメリットとデメリットがあるため、自分のカーライフにあわせて選ぶことをオススメする。

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