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あおり運転は土日に発生!? 車の価格も関係か? 加害者になる人の特徴とは

くるまのニュース / 2020年11月14日 9時30分

2020年6月30日から改正道路交通法が施行され、あおり運転行為が妨害運転として厳しい罰則が科されるようになりました。しかし、いまも全国であおり運転による被害が報告されています。なぜあおり運転が発生するのか、加害者の心理を考察してみました。

■やられたからやり返す!? あおり運転加害者の心理とは

 警察庁は、改正道路交通法の施行に伴い、2018年から2019年の2年間に全国の警察が摘発した133件(危険運転致死傷罪の適用59事件と刑法を適用した74事件)をもとに、「あおり運転に関する事例調査」を実施しました。

 その結果を見ると、加害者の年齢やあおり運転の発生時間、妨害運転の状況などとともに、加害者の心理が見えてきました。

 まず、あおり運転発生の傾向として、発生曜日は土曜日がもっとも多く、月曜日よりも3倍以上となっています。次に多い日曜日と合わせて、土日が全体の約39%を占めています。

 時間帯については、午前0時から6時までの発生割合は約12%と少なく、そのほかの時間帯における発生の差はほとんどありません。

 つまり、あおり運転が発生するのは、クルマが少ない平日や深夜帯は件数が少なく、外出する人が増える土日が多くなっていることがわかります。

 また、あおり運転と聞くと高速道路で起きているイメージがありますが、じつは高速道路よりも一般道路が圧倒的に多く、そのうち、複数車線の道路で発生する傾向があるようです。

 さらに、この調査報告のなかでもっとも気になったのが、加害者側の認識です。あおり運転をする人は、どのような心理状態なのでしょうか。

 妨害行為を始めたきっかけとなった端緒を見ると、何らかの行為をされたと認識したことによるものが122件(約92%)ありました。

 なかでも多かったのが、「進行を邪魔された(進路を譲らない、前車が急ブレーキをかけたなど)」が約36%の47件。

「割り込まれた、追い抜かれた(約22%、29件)」など、被害者の運転行動がきっかけとなったと答えています。

 つまり加害者は、「ふざけんなっ! 倍返ししてやる!」といった感じでやり返しているという心理状態がうかがえます。

 そう考えると、交通量の多い時間帯や、運転の不慣れなドライバーも増える土日にあおり運転が多いこと、高速だけでなくどんな道路でも起こりうることも理解できます。

 加害者は、自分の気に入らない行為をされたときにスイッチが入るという傾向が見て取れるので、交通量の多い道路での土日のドライブは要注意ということになります。

 さらに、被害者の行為との関係を見ると、加害者の認識と同様の行為をしたと捜査で確認できたのはそのうちの58件(約44%)です。

 逆にいえば、半数以上は加害者の思い込みか、少なくとも被害者と加害者のコミュニケーションが成り立っていないことがわかります。

 警察庁もあおり運転に遭わないための心得として、以下のように紹介しています。

・追い越し車線を走り続けるのは違反です
・追いつかれたら早目に道を譲りましょう
・車間距離を十分にとり、急な割り込みはしないこと
・急発進や急停車はしないこと

 あおり運転をする加害者を取り締まるのは当然として、そのきっかけとなりうる、誤解されるようなおこないをしないためにも、周囲への配慮や思いやりを持った運転を心掛けるようにしましょう。

※ ※ ※

 あおり運転加害者の性別や年齢、運転状況はどうでしょうか。

 男女比は男性128件、女性5件で大半が男性です。被害者も男性のほうが圧倒的に多く被害に遭っています。

 同乗者の有無では、104件が単独乗車で、加害者は一人で運転している割合が多くなっています。

 年齢は、件数だけを見ると40代の加害者が多い傾向にありますが、運転免許保有割合で比較すると、10代、20代が加害者・被害者ともに多くなってきます。

 若い世代ほど危険な運転をする傾向が強く、一人で運転しているときはあおり運転を制止する同乗者がいないことで気が大きくなる傾向にあるのかもしれません。

 また、加害者が運転する車両は、乗用車105件、貨物車25件、二輪車1件、原付1種が2件となっています。

 しかし、被害車両では二輪車が22件、乗用車は74件で、自動車保有車両数(2019年9月末 国土交通省 自動車保有車両数統計)の乗用75.5%、二輪(原付含まない)の4.5%との割合で比較すると、二輪車の割合が高くなっているといえます。

 警察庁交通局交通指導課の矢武陽子氏が、国際交通安全学会(IATSS)に発表した「日本におけるあおり運転の事例調査」によると、加害車両の4割が500万円以上の車種だったのに対し、被害車両の75%は500万円未満(200万円未満35%)だったという調査結果もあります。

 やはり二輪車や軽自動車、コンパクトカーなどの「“弱車”=弱そうに見えるクルマ」が狙われやすいといえます。

 あおり運転は報復行為としておこなわれることが多いので、強そうに見えるクルマに対してはされにくいのかもしれません。

 一方で、強そうなクルマに乗っていると気が大きくなり、加害者となる可能性があるともいえるでしょう。

■違反対象となる妨害運転はどんなもの?

 あおり運転と聞くと「車間距離を詰める行為」と思いがちですが、調査における妨害運転の違反行為は、幅寄せや蛇行運転を含む安全運転義務違反がもっとも多く、急ブレーキ禁止違反などが続きます。

 さらに、妨害運転に関しては距離が長い場合もあれば短い場合もあり、速度も低速な事例もあります。

あおり運転の罰則が2020年6月に強化(写真はイメージ)あおり運転の罰則が2020年6月に強化(写真はイメージ)

 こうした調査結果を受け、改正道路交通法施行ではあおり運転を「妨害運転罪」と規定し、以下の10類型が定義され、摘発対象となりました。

●取締り対象となる妨害運転の典型例

・車間距離を極端に詰める(車間距離不保持)
・急な進路変更をおこなう(進路変更禁止違反)
・急ブレーキをかける(急ブレーキ禁止違反)
・危険な追い越し(追い越しの方法違反)
・対向車線にはみ出す(通行区分違反)
・執ようなクラクション(警音器使用制限違反)
・執ようなパッシング(減光等義務違反)
・幅寄せや蛇行運転(安全運転義務違反)
・高速道路での低速走行(最低速度違反)
・高速道路での駐停車(高速自動車国道等駐停車違反)

 このように明確に禁止行為が規定されたことを、多くのドライバーが認識すべきでしょう。というのも、ドライブレコーダーの普及によって、これら違反行為の告発が格段にやりやすくなったからです。ドライブレコーダーの有効性は、今回の調査でも立証されています。

 検挙事例のうち、映像証拠があったものが約8割。そのうちドライブレコーダーの映像があったものが約8割を占め、捜査に有用となっていることがわかりました。

 妨害運転をするきっかけが、加害者側の一方的な思い込みの可能性もありますから、それを証明するためにも、映像は重要な証拠となります。

 ということは、思わぬ行動をとられたことでついカっとなり、「ちょっとだけ威嚇してやれ」とばかりに、パッシングをしたり追い越しをしかけたりすると、加害者として告発される可能性も高まったことは、覚えておきたいところです。

 なお警察庁では、不幸にもあおり運転に遭ってしまった場合の対応策として、「サービスエリアやパーキングエリア(PA)などの安全な場所へ避難する」、「警察に110番通報する」、「警察が来るまで車外に出ない」、「ドライブレコーダー等で相手の行動を記録する」などといったアドバイスをしています。

 加えて、ドライブレコーダーのなかにはあおり運転対策として緊急通報機能付きのモデルも登場しています。

 ドライブレコーダーは、“弱車”にとって強力な抑止力となりうるツールといえますから、この機会に検討されてみてはいかがでしょう。

※ ※ ※

 加害者も被害者も、あらゆる年代で起きているあおり運転ですが、被害者にならないように注意するだけでなく、自分が加害者になる可能性があることも忘れてはいけません。

 また、自分がほかのクルマの進行を妨げるような行為ではないと思っていても、相手がどう受け取るかはわかりません。

 ドライバーは日常生活と同様に、クルマを運転する時も周囲への配慮、思いやりを持った運転を常に心掛け、自分本位にならず、「思いやり・ゆずり合い」の気持ちを持って安全運転を心がけましょう。

※文中のデータはすべて警察庁への開示請求によって入手した「あおり運転に関する事例調査」より抜粋

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