なぜ海外に東北ナンバーが流出!? 日本のナンバープレートが世界で転売される理由とは
くるまのニュース / 2020年11月16日 9時10分
クルマのナンバープレートは、基本的に公道を走行する場合は必ず付けなければならないものです。しかし、最近では日本のナンバープレートが世界各地で転売され、日本ブームの影響もあり人気を博しているといいます。本来、海外に流出するはずのないナンバープレートがなぜ海外に出回っているのでしょうか。
■もっとも盗まれる自動車パーツの1位はナンバープレート!?
警察庁の発表によると、自動車本体の盗難認知件数は2000年以降減少しており、2010年の2万3970件から2019年は7143件と、この10年間で1/3以下にまで減少しました。
クルマの部品が盗難される「部品ねらい」の認知件数も同様に減少していますが、一方で増えているのが部品ねらいに占めるナンバープレートの割合です。
なぜ、ナンバープレートの盗難が増えているのでしょうか。
近年は部品狙いの約半数がナンバープレート盗難とされ、ナンバープレートは「もっとも盗まれる自動車パーツ」になっています。ドライバー1本で簡単に、短時間に盗めてしまうという手軽さもあるのでしょう。
近年は自動車用品販売店やディーラーなどで「ナンバープレート盗難防止」の部品が販売されており、盗難防止効果はもちろん、ドレスアップ効果もあるため、取り付ける人も増えているようです。
ところで、盗まれたナンバープレートはどのような目的に使われるのでしょうか。
警察庁では「犯罪のために使われることが多い」という分析をしています。確かに、逃走車両のナンバーを付け替えたり、盗難したクルマのナンバーを付け替えたり、という犯罪用途に使われることが多いようです。
しかし、実は「犯罪目的」以外にも、日本製のナンバープレートが人気となっている実情があるようです。
今回、取材を進めるなかで、日本から盗まれたナンバープレートが海外で販売されているという現状がわかりました。
上記の黄色いナンバーと白いナンバーが整然と並べられている写真、これらのナンバーは(現在は販売をおこなっていませんが)、アメリカの日本車専門店で販売されていたものです。
日本で盗まれた車両がバラバラに解体・販売されていたアメリカ・ヴァージニア州の日本車専門店の販売サイトにて、1枚40ドル、2枚で50ドルという価格で販売されていました。
ナンバーの地名を見ると福島、いわき、宮城などほとんどが東北のナンバーであることがわかります。
2ケタナンバーもちらほらありますが、福島300、福島501など分類番号が若いものが多いことから、おそらく2011年の東日本大震災で被害を受けたクルマについていたナンバーであると推測されます。
どのようなルートを経由してアメリカで販売されるようになったのかは定かではありません。
盗難されたのか、廃車手続き(抹消登録)によって外されたものなのか、いずれにしても、日本のナンバープレートが海外に持ち出されることはもちろん違法です。
ちなみに、こちらの販売店では、軽自動車のナンバーを付けたホンダ「インテグラ」がお店の前に展示されている写真も掲載されていました。
■アジアから日本のナンバーを発送?なぜ日本のナンバーは人気が高い?
タイ・バンコクにも日本のナンバープレートを販売している業者がいます。Facebookで日本車パーツを売買している業者が仕入れたナンバーです。
どこでどのように仕入れたのか聞いてみたところ、仕入先については答えてくれませんでしたが、「10年以上前に仕入れた」という回答でした。確かに2ケタナンバーの比率が高いので少し古いナンバーのようです。
ちなみにこちらの業者は、バンコクから世界中に発送しており、送料込みで1枚40ドルから50ドル、2枚(前後)70ドルから80ドルで販売をしていました。
大変人気が高いようで、世界各国から注文が入っており発売から数日で100枚以上が全部売り切れてしまったこともあったそうです。
「字光式」の光るナンバープレートや赤い斜め線や赤枠が入った「仮ナンバー」(自動車臨時運行許可票)はとくに人気が高く、出品したら瞬時に売り切れることもあるといいます。
なお、仮ナンバーも本来は使用期間内(5日間)に返却しなくてはならないものですが、なぜか海外で販売されています。
また、台湾で作られたFacebookグループには「日本車牌 日規牌照 資訊交流站」(日本のナンバープレートコレクターのための交流グループ)なるものが存在しており、トップページには100枚以上のナンバープレートの写真が掲載されています。
なかには仮ナンバーや大使館車両が付ける「外ナンバー」そして、日本でもあまり見かけない「代(代表団)ナンバー」まであります。日本のナンバーではない、アメリカ・テキサス州、同ハワイ州、香港&マカオのナンバーまで写真に写っています。
バンコクから日本のナンバープレートを販売している業者も存在
日本のナンバープレートが海外で販売されていることは果たして合法なのでしょうか。
交付代行者及び頒布業者58者並びに自動車標板製作者30者で構成される、一般社団法人 全国自動車標板協議会に聞いてみました。
「通常、廃車にする車両は税金などのこともあり、抹消登録されナンバープレートを返納しますのでそのままの状態で出回ることは一般的にはありません。(記念保存の制度により、不要となったプレートを受け取る場合も破壊処理を施すこととして直径4cmの穴があけられます)
しかしながら、盗難車や災害などで処理された車両は通常どおりとはならないようです。
並べられた写真のプレートは災害などで大量に処理された車両のようでもありますし、盗難車であればなおさらです」
※ ※ ※
盗難車や災害処理に乗じて廃棄業者が横流しした可能性もあるこれらのナンバープレート。
世界的なJDM(1980年代から1990年代の日本製スポーツカーや日本独自仕様パーツを指す)人気の高まりに伴って、「JAPANESE LICENSE PLATE」として漢字やひらがなが入った日本製ナンバープレートの人気も高まっていると考えられます。
万が一、ナンバープレートを盗まれてしまったら管轄の運輸支局で再交付を受けることになりますが、その際ナンバーがない状態で公道を走ることはできません。
自走して運輸支局に向かう場合は区役所や市役所などで仮ナンバーの貸与を受けることになります。
なお、JAFのロードサービスを利用する場合、ナンバーがない状態のクルマは運べないため注意が必要です。
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