トヨタでもセダン復権は厳しい? 「クラウン終了報道」で背の低いクルマはスポーツカーだけに?
くるまのニュース / 2020年12月18日 10時10分
セダン市場が縮小傾向にあるなかで、トヨタ「クラウン」の生産終了報道は大きな話題となりました。そうしたなかで、今後背の低いクルマはスポーツカーまたはスポーティモデルしか残らないのでしょうか。
■クラウン終了報道で「セダン絶滅」がいよいよ現実的に?
かつてはクルマの基本形といわれたセダンですが、近年ではSUVやミニバン、コンパクトカーに押されるカタチでその人気は下火状態です。もはや背の低いクルマに生きる道はないのでしょうか。
「セダン」とは一般的に、ボンネットとキャビン、そしてトランクがそれぞれ分割された構造を持つクルマのことを指します。
1960年代から1970年代ころまでの、モータリゼーション全盛期の日本では、ほとんどの乗用車がセダンもしくはセダンをベースに派生したクルマといって過言ではありませんでした。
しかし、1980年代から1990年代にかけて、クロカンやミニバンなどが見られるようになり、2000年代に入ると、コンパクトカーとミニバンが全盛期を迎えることになります。そして、2010年代ではSUVの時代が到来しています。
かなりおおざっぱではありますが、このようにボディタイプのトレンドも時代とともに移り変わっていることがわかります。
一方、2000年代半ばころまでは、セダンも各メーカーからそれなりにラインナップされていました。
セダンが「クルマの基本形」とされていた時代の名残なのか、「ふつうのクルマ」を求めるユーザーが、セダンを購入していたといわれています。
しかし、現在ではそうしたポジションもSUVやコンパクトカーにとって代わられようとしており、セダンのラインナップが年々減少しています。
そのもっともセンセーショナルな事例が、2020年11月に各紙から報道されたトヨタ「クラウン」の生産終了報道です。
現時点では、トヨタから正式なアナウンスはありませんが、昨今の国内新車市場を鑑みると、決して誤報とはいい切れません。
また、同じくトヨタ「アリオン」や「プレミオ」、ホンダ「グレイス」「シビックセダン」は正式に生産終了が発表されています。
加えて、日産「シルフィ」も生産を終了していることが報じられており、国内新車市場における5ナンバーセダンはすでに壊滅状態といえます。
■「背が低い」ことはメリットになるか
かつては技術的な制約から、FRベースのセダンがもっとも合理的といわれてきました。
しかし、現在ではそうした制約も最小限になり、より燃費のよいコンパクトカー、あるいはより多人数乗車が可能なミニバン、そしてトータルバランスに優れたSUVのほうが、ユーザーのニーズにマッチしたという背景があります。
そんななか、セダンの物理的なメリットは「背が低いことによるデザインおよびドライバビリティの良さ」に集約されつつあります。
つまり、スポーツカー、あるいはクーペの4ドアバージョンという位置づけといえます。
2018年に登場した現行クラウンが、ほぼ国内専用車でありながら、ドイツのニュルブルクリンクで鍛えた走りをアピールした背景には、ユーザーの若返りのほかにこうした事情があったと考えられます。
2シーターのスポーツカーやクーペに比べれば、大人4人がある程度快適に乗車できるセダンは実用的です。
トヨタ「カムリ」ではスポーティモデルとなる「WS」が人気だという
さらに背が低いことによるドライバビリティの良さや流麗なデザインが、セダンというボディタイプのメリットといえるでしょう。
しかし、現実的には、今後セダンが復権することは考えづらいようです。あるディーラー関係者は次のように話します。
「現在、セダンを購入するお客さまの多くは、セダンもしくはそのクルマそのものを好んでいらっしゃる、いわゆる『指名買い』のお客さまがほとんどです。
そういったお客さま以外では、あえてセダンをおすすめするということはないのが現実です。
『指名買い』以外の例を強いて挙げるなら、駐車場の事情から背が低いクルマでなければならず、結果的にセダンを検討される人がいらっしゃいます。
ただ、全体から見れば希少な例といえ、今後国内市場におけるセダンは縮小傾向であることは間違いないでしょう」
※ ※ ※
海外市場に目を向けると、中国や北米のようにセダンが堅調な市場もまだまだあります。
プレミアムブランドのセダンのように、グローバル市場で販売されるモデルを日本市場にも導入するという形が、今後セダンが生き残る現実的な道かもしれません。
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