次期型「プリウス」は超絶進化? トヨタが「全固体電池」に全集中する訳とは
くるまのニュース / 2020年12月21日 14時10分
世界中で「脱ガソリン車」や「電動化」の波が急速に加速しています。市販化される電動車も増えているなかで、ハイブリッド技術を先導するトヨタやEV販売で高いシェアを誇るテスラは、すでに次世代EVの開発に着手しているといい、その鍵を握るのが「全固体電池」です。いったいどのようなスペックなのでしょうか。
■ハイブリッド車や既存電気自動車よりも優れた全固体電池車とは?
日本自動車工業会の記者懇談会でどちらかといえば電気自動車(以下、EV)に対し否定的な論調だった豊田章男会長でしたが、トヨタ自動車を見ると着実にEVの時代を想定した技術開発をおこなっている。
どうやら次世代EVは全固体電池が本命だと考えているようだ。ここにきて話題にあがることも増えた全固体電池、いったいどんなスペックなのか。
最初に簡単な解説をしておく。現在、ハイブリッド車やEVに使われている電池にはイオンを運ぶ役割を持つ「電解質」という液体が入っており、もっとも解り易いのは12Vの車載バッテリー。「バッテリー液=電解質」です。
乾電池だとジェル状の電解質を使うし、リチウムイオン電池も内部にジェル状の電解質が入っています。この電解質、電池性能の足を引っ張る。
漏れれば危険だし(車載の12V電池の電解質は希硫酸)、低温になると凍結してイオンが動けなくなってしまう。液体のため高温にも弱い。
「だったら液体&ジェルの電解質を固体に置き換えちゃいましょう」というのが全固体電池です。
全固体電池、すべて固体で構成されています。電解質によって制限されていた性能をフルに引き出せる。
自動車用の全固体電池として開発されている大雑把なスペックは、2022年から2024年に登場予定の第一世代で現在のリチウムイオン電池の2倍以上の性能を持つ。
日産「リーフ」級の車体に現在の電池スペースに搭載すれば、簡単に900km程度の航続距離を持たせられることになります。
実際には、そこまでの容量など不要となり、半分の電池搭載量で済む。
■2030年には、急速充電3分で250km走行可能!?
さらに凄いのが急速充電性能。リチウムイオン電池は温度が0度から50度くらいが適正な使用環境で、マイナス側になると性能が低くなり、高いと寿命を落とします。
温度により特性が変わる液体を使わない全固体電池ならマイナス30度から100度に耐えるポテンシャルを持つといわれる。急速充電時に問題となる電池温度上昇に強い、ということ。
現在リチウムイオン電池でもっとも早い急速充電はテスラが導入している250kWhタイプ。理論上、6分で25kWh(ガソリン25リッターをイメージしてもらえば解りやすい)入る。走行距離にすると125km程度です。
全固体電池なら2倍以上の急速充電の受け入れ性能を持つ。6分で250km走れるだけの電気を貯められることになり、すでに圧倒的な性能を持つ。
といったスペックは現在量産しようとしている全固体電池であり、2030年頃に実用化しようとしている第2世代になると第1世代のさらに2倍の性能を持つという。
となれば電池搭載量は現行リーフの4分の1。急速充電は3分で250km走行可能になり、もはやガソリン車と完全に並ぶ。
そのうえで価格は1kWhあたり1万円。リーフe+と同じ62kWhだと62万円で済む。
寿命も現在のリチウムイオン電池の3倍以上といわれている。となれば、ガソリンエンジンより長寿命。
2030年にこんな電池が実用化されたら、もはやハイブリッド車ですら勝負にならない。家庭用太陽光発電パネルとセットで運用すればカーボンフリーです。
トヨタはさまざまなEVモビリティを提案している(画像はLQ)
全固体電池開発にもっとも熱心なのがトヨタ。パナソニックを含め、圧倒的な特許出願数となっており、日本政府はカーボンフリー実現のため巨額の開発費用援助を決めているようだ。
開発も順調らしく、早ければ2022年登場の次期型「プリウス」に採用するんじゃないかといわれているほど。
全固体電池の登場でパワーユニットは大きく変わっていくと思う。
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