天は二物を与えた? 速いだけじゃなく美しい車3選
くるまのニュース / 2021年2月3日 16時10分
これまで世界中のメーカーから星の数ほどのクルマが誕生しました。なかにはいまも語り継がれるほど美しいと評されたモデルがありますが、さらに美しさに加えて高い動力性能を獲得したクルマも存在。そこで、速いだけでなく美しいクルマを3車種ピックアップして紹介します。
■美しさと速さを兼ね備えたクルマを振り返る
19世紀の終わりにガソリンエンジンを搭載した自動車が発明されて以来、世界中の自動車メーカーから膨大な数のクルマが世に送り出されました。そうしたクルマのなかには、個性的な外観が美しいと評されたモデルも存在します。
また、高性能なエンジンを搭載し、優れた足まわりを組み合わせて、動力性能やコーナリング性能の向上を図ったクルマも星の数ほどあります。
このふたつを組み合わせた「美しく速いクルマ」の代表的なモデルというと、1970年代以降に誕生したスーパーカーが挙げられます。
しかし、スーパーカーは非日常を体現したクルマで、使い勝手は無視してデザインや高性能さに特化して開発されたため、美しくて速いのは必然といえるでしょう。
一方で、もっと実用的なクルマのなかにも、美しくて速いと絶賛されたクルマが存在。そこで、優れたデザインとスピードを獲得したクルマを、3車種ピックアップして紹介します。
●マツダ(アンフィニ)「RX-7」
ロータリーターボを搭載した最後のピュアスポーツカー「RX-7」
1991年に発売されたマツダ(アンフィニ)「RX-7」は、ハイパワーなロータリーターボエンジンを搭載した、ピュアスポーツカーとして開発されたモデルです。
外観はダブルバブル形状のルーフやショートデッキ・ロングノーズを採用したスタイルによって、新しさのなかにもクラシカルな手法を取り入れ、複雑な曲面を組み合わせたフォルムは妖艶な雰囲気を醸しています。
フロントフェイスには日本車で最後となったリトラクタブルヘッドライトを採用。低いボンネットと小ぶりなキャビン、ワイドトレッドが相まって、見た目にも高い運動性能を予感させます。
エンジンは654cc×2ローターターボが搭載され、発売当初は最高出力255馬力を発揮し、後に改良が重ねられた結果、国内での自主規制値上限である280馬力に到達。
シャシ性能も高く、アルミ製サスペンションアームを多用した4輪ダブルウイッシュボーンにより、優れた運動性能を発揮しながら、2+2の4シーター(後に2シーター車も登場)で、深さは浅いながらも荷室も確保されるなど、実用的なスポーツカーという一面もあります。
RX-7は強化された排出ガス規制の対応が困難ということから2003年に生産を終了しましたが、いまも優れた走りとスタイルによって、国内外に存在する数多くのファンを魅了し続けています。
●ボルボ「850エステート T-5R」
均整のとれたプロポーションとパワフルなエンジンで人気となった「850エステート T-5R」
1980年代の終わりから1990年代の初頭にかけ、好景気という背景やスキーブーム、アウトドアレジャーブームが重なったことで、ステーションワゴン人気が一気に高まりました。
その人気の先駆けだったのが、国産車ではスバル初代「レガシィツーリングワゴン」で、輸入車ではボルボ「850エステート」ではないでしょうか。
1991年に発売された850はセダンとステーションワゴンをラインナップし、とくに850エステートはボクシーなフォルムながらも美しさが感じられる洗練されたデザインによって、国内のLサイズ・ステーションワゴン市場を席巻。
搭載されたエンジンは2.3リッターから2.5リッターの直列5気筒で、これを横置きに搭載したFFを基本とし、4WDもラインナップされました。
さらに、ターボモデルをさらにチューニングした最高出力240馬力のハイパワーな限定車「850エステート T-5R」や「850Rエステート」が発売され、どちらも高い人気を誇ります。
欧州では850エステートをベースにツーリングカーレースに参戦するなど、基本性能の高さをアピールし、スポーツワゴンというイメージを定着させました。
850エステートは日本でデザインやコンセプトが高く評価され、1994年度に「グッドデザイン大賞」を受賞。現在まで自動車がグッドデザイン大賞を受賞した例は5車種しかなく、850エステートは唯一の輸入車で受賞したモデルです。
なお、今も850エステートの美しさに魅了されたファンは多く、ボルボ・カー・ジャパンでは末永く維持することをサポートするレストアサービス、「ボルボ・クラシック・ガレージ」を展開しています。
■世界一美しいクーペをベースにしたハイパフォーマンスカーとは
●アルピナ「B7ターボクーペ/B9」
エレガントなフォルムは今も色褪せない魅力がある「B7ターボクーペ」
BMWのクルマをベースにしたチューナーとして名を馳せ、後に自動車メーカーとして正式に認められたのが、アルピナです。
アルピナのモデルの特徴は、機能とデザイン性を両立したシンプルな内外装のドレスアップと、シャシの強化、高出力のエンジンを搭載することにあります。
そして、なかでも伝説的なモデルが、「世界一美しいクーペ」と評されたBMW「E24型 6シリーズ」をベースにしたアルピナ「B9/B7ターボ」です。
初代6シリーズは1977年にBMWのフラッグシップクーペとして誕生。直列6気筒エンジンを収めるロングフロントノーズと、キャビンの大きさと高さ、トランクの長さと形状が絶妙なバランスで融合し、後のクーペデザインに多大な影響を与えました。
この美しいクーペをベースにアルピナが仕立てたのがB7ターボクーペとB9です。
B7ターボクーペは1978年に発売され、エンジンは3リッター直列6気筒ターボを搭載し、最高出力は300馬力を誇り、最高速度は250km/h以上と発表されています。
また、1982年に登場したB9は、3.5リッター直列6気筒自然吸気エンジンを搭載し、最高出力は245馬力とB7ターボクーペよりもマイルドですが、最高速度は240km/hに到達。
どちらのモデルも6シリーズの美しさをそのままに、フロントには迫力ある形状のエアダムスポイラーが装着され、ボディサイドには後に伝統となるアルピナ独特のストライプが入れられるなど、「美しく速い」クルマを具現化していました。
※ ※ ※
冒頭にあるように、美しく速いクルマの代表格といえばスーパーカーと呼ばれるクルマで、近年はまるでジェット戦闘機のような機能美に近いデザインのモデルが主流です。
一方で、1960年代から1970年代に登場したクラシックスーパーカーは、アナログで妖艶な美しさがあり、その代表的な存在はランボルギーニ「ミウラ」や、フェラーリ「365GT4 BB」ではないでしょうか。
どちらもスーパーカーブームの頃に少年たちを夢中にさせたモデルですが、今も生粋のセレブたちを魅了し続けています。
海外のオークションに出品されれば、コンディションによりますがミウラなら1億円以上、365GT4 BBは5000万円前後の価格で取り引きされるなど、まさに芸術品の域に達したといえるでしょう。
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